歌人の鈴掛真さんは、ゲイであることを公表して短歌やエッセイでも活躍中。歌も多く収録したエッセイ『ゲイだけど、質問ある?』では率直な質問に真正面から答えています。

なにか凝り固まったものから解放されることが、時には必要――そんな思いを込めて鈴掛さんが綴っていく連載「解放宣言」。今回は「高齢者ドライバー」についてデータと共に分析してもらいました。

高齢者の交通事故報道

本当に
必要なものは
見つからず
何も買わずに
ローソンを出る

こんにちは。歌人の鈴掛真です。5・7・5・7・7の短歌の作家です。

最近、日本全国の交通事故、とりわけ高齢者による自動車運転事故のニュースが連日報道されています。

まずは被害に遭われたみなさんに、心よりお見舞いとお悔やみ申し上げます。そして、加害者には相応の処罰が科せられなければならないと強く思います。

僕の周りも、交通事故の話題で持ちきり。スマートフォンでSNSを開けば、
「運転事故、最近多すぎ……」
「もう高齢者に運転させるな!」
「加害者に厳罰を!!」

などの発言が散見しています。

しかし、僕はこうした社会の流れに、疑問を抱きます。果たして、本当に高齢者の運転事故は増えているのでしょうか?

今回は、交通事故の現状についてデータを元に紐解いていくと共に、ニュースに捕らわれずに真実に近づくための考察をしたいと思います。

「交通事故が増えている」は本当か

なんだか突然、テレビやネットで自動車運転事故のニュースを頻繁に見かけるようになったので、「交通事故が増えたな……」と感じてはいませんか?

本当に交通事故は増えているのか、内閣府が公表している『道路交通事故の動向』を見てみましょう。

平成30年度版交通安全白書』に記載されている国内の交通事故発生件数の推移によると、史上最悪の95万件を記録した2004年をピークに、交通事故発生件数は毎年減少しています。最新の2018年のデータは交通事故総合分析センターが発表しており、昨年1年間での交通事故発生件数は43万件と、この15年で半分以下にまで減少しました。

確かに、最近は交通事故のニュースが多い。ただし、忘れてはいけないのは、元々テレビやネットのニュースはすべての交通事故を取り上げるわけではないということ。規模の大小はあれど、1日平均1,200件もの交通事故が日本全国そこら中で起こっていることになります。交通事故死者数も2018年は3,500人を記録しており、1日平均9人が交通事故で亡くなっている計算に。1,200件の交通事故を毎日すべて報道していたら、いくら時間や誌面があっても足りません。

もちろん、あまりに理不尽に罪のない子どもが命を落とした、都会のど真ん中で暴走車が人を跳ねたという衝撃的な事故だからこそ、繰り返し報じられたのでしょう。

「最近ニュースをたくさん見かけるから」といって「交通事故が増えた」と考えるのは早計です。自動車運転事故がたまたま最近ニュースで取り上げられることが多くなったため「交通事故が増えたように見えている」だけなのです。

ただ、ここで忘れてはならないのは、たとえ交通事故が大々的に報道されない日にも、この国のどこかでは数えきれないほどの交通事故が起こり、たくさんの人が傷ついたり亡くなったりしているということ。最近の報道をきっかけに「運転に気をつけなければならない」と認識できるようになることは、とても大切です。