研究室での陰湿な「マタハラ」

妻はまず、研究室の教授と指導担当の助教に妊娠の報告をすると共に、長期の休業は取らずに修士を取る計画であることを告げたのだが、その後からゼミの情報が回って来なくなり、皆が出席するゼミを妻だけ逃してしまう日々が始まる。妻が担当するはずの実験も連絡なしに後輩達に回され、研究室に関わる機会が奪われ、妻は急激に孤立していった。

悪意からなのか、妊娠するとゼミへの参加も実験も難しいとの偏見からの「配慮」なのか分からないが、妊娠という私的な状況の変化が妻の能力と関係のない所で、明らかな職場環境の変化をもたらしてしまった。典型的なマタハラである

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そんな状況にあっても、妻は自ら実験を手配し、妊娠初期に修士論文を書くための実験を終わらせ、妊娠後期に修士論文の大半を書き終え、出産後2カ月で育児休業を取った私とバトンタッチして復帰。そして修士を取得した。

孤立した状況にも負けず、出産後に体調が戻らない中で授乳の難しさや睡眠不足など育児に苦しみながら、当初の計画通り遅れることなく修士を取得した妻の努力は、間近で見ていて凄まじいものだった。

その後、妻は博士課程に進学。私も育児休業から職場に復帰し、子供を保育園に預けながら夫婦で家事育児を分担し、互いに研究生活を続けていたが、この頃から周りの状況はさらに悪化する。