なぜこの分野に人もお金も集まるのか

そもそもなぜ、他国の政府や大企業が性と生殖に関する健康権利やジェンダーの平等分野にこぞって人もお金も莫大な投資するのか。前提としてそもそも全ての人に守られるべき権利であり、倫理的問題があることは勿論だが、それと同じかそれ以上の理由がある。性別に限らずすべてのひとが本来ある能力を最大限に活かせる社会になれば、世界全体の底上げと成長に繋がると数字で証明されつつあるからだ。

今回、Women Deliver2019では、全体を通してデータをメインに扱うセッションが多かった。いかにデータによって問題を可視化するか、いかに分かりやすくデザインするか、いかにひとりひとりの声と組み合わせ実際の政策に最大限影響を与えるかなど、あげればきりがない。また、最新の大規模なデータそのものを発表するものもあった。

中でも私が特に惹かれたのが、「Deliver for GOOD」というグローバルキャンペーンだ。

これは、Women DeliverやIPPF、Plan Internationalなど名だたる14の国際機関を中心に、47の機関で実施されている。彼らは、SDGsが掲げる全ての目標をジェンダーレンズを通してして検討し、女子・女性に投資することで全てのひととSDGs達成にプラスの効果をもたらす12の領域を提示した。その12の領域は、母子保健ジェンダーに基づく暴力の削減データの質向上経済的エンパワメントなど多岐に渡り、それぞれに、現在世界が抱える問題の現状、投資と期待される効果、解決策の3つが分かりやすく書かれている。

Deliver for Goodの資料。12領域のデータが分かりやすくビジュアル化されている。避妊に投資する重要性を示したステッカーは思わずPCのど真ん中に貼ってしまった 写真提供/福田和子

筆者が尽力する避妊具に関しても「避妊具と生殖の健康に関するニーズを満たす」というテーマで扱われており、投資の部分を見れば、$1避妊具に投資をすると、想定外妊娠を減らすことで女性の健康リスクが下がり、結果$2.22のセーブになるといった具体的数字が書かれている。他の領域を見ても、ジェンダーに基づく暴力によるコストは、現状各国GDPの1.2~3.7%を占めており、一方、それをなくすことができればSDGsの中でも最も経済効果の高いターゲットのひとつであることが経済学者により証明されていることが一目分かる。

このように、世界中のスペシャリストがジェンダー問題をデータ化することで、この分野に取り組む重要性やその意味がエビデンスベースで世界に認知されつつあるのだ。女性が可哀想だからとかやるとか、性ははしたないから触れないとか、そういう次元ではもはやない。もしかすると、Women Deliverの規模の大きさもその成果のひとつなのかもしれない。