スウェーデンに留学した経験から「日本は性教育も、避妊に対する知識や権利も遅れている!」と#なんでないのプロジェクトを立ち上げた23歳の福田和子さん。

6月に参加した国際会議の場で、思った以上に「日本は遅れているというレベルではない」と感じたことを綴った「女性の健康世界会議で大衝撃!23歳が『日本ヤバイ』と痛感した理由」は大きな反響を呼んだ。そしてSNSでは「こんな状況の中で私たちはどうしたらいいのか…」という声も多く見られた。

そこで、今回は「今の日本で私たちが女性の性や生殖に関する権利を守るためにできること」を福田さんに寄稿してもらおう。

思い出してもやっぱり悲しい

悲しい。

渡航が決まってからの数ヶ月、私はジェンダー平等SRHR(性と生殖に関する健康と権利/Sexual and Reproductive Health and Rights)の達成のために世界中から集まった8000人を超えるひとたちに出会えることを、心待ちにしていた。

しかし現実は、幸せどころか、熱気溢れる会場で私はたったひとり、取り残された気持ちだった。それは前回にも書かせて頂いたが、世界がものすごいパワーで前進しようとする中で、誰にも気づかれないまま、ただただ追い抜かされてゆく、それをどうすればいいかも分からないまま立ちすくむ自分も、辛かった。日本、ヤバイぞ。とにかくそれは、今までにない、強烈な感覚だった。

私がそんな思いを抱いたのは、2019年6月2日から6日まで、カナダのトロント開かれた、世界最大級のジェンダー平等やSRHRに関する国際カンファレンス、Women Deliver2019だ。今回私は、そのWomen Deliver2019に、国際NGO JOICFPが展開するI LADYキャンペーンのアクティビストとしてはじめて参加してきた。

期待に胸を膨らませて参加した 写真提供/福田和子

前回は、日本がいかにまずい状況にいるのか書かせてもらった。今回は、この現状をどう変えていけるのか、希望を見出せる記事にしたいと思っている。

カナダは毎年1700億円の投資を決定

世界には、「私はフェミニスト」「男も女も平等であることを望み、その達成には沢山のなすべき仕事があると言っているだけ。それって、空は青くて草は緑というくらい当たり前の話」という言葉を残した首相がいることをご存知だろうか? そう、カナダのトルドー首相である。

カナダのトルドー首相。23日にトロントで行われたレインボーパレードでも率先して歩いた Photo by Getty Images

私は以前から彼の多様性や平等を訴える姿勢が大好きで、憧れていた。そんなトルドー首相が今回、開催国の首相ということで、熱気に溢れる開会式でスピーチを行った。そこで最も注目を集めたのは、彼のある宣言だった。

「Women Deliverに参加しているような皆さんは、ジェンダー平等と女性の権利の闘いにおけるリーダーです。 そして、我々は政府として、あなた方のパートナーであり、理解者である必要があります。今日、我々カナダ政府は、これから(10年間)毎年1.4ビリオンダラーを、世界中の女性と女児の健康を支援するために投資することを約束します

住む場所に関係なく、すべての女性は、必要な安全で質の高い医療にアクセスできるべきです性と生殖に関する健康の権利、母子保健、子どもの健康に投資をすることで、私たちはよりより公正、平等に繁栄した世界を築くことができるのです。」

1.4ビリオンダラー…? カナダドルと考えると、日本円にして約1100億円にのぼる額だ。しかもその後調べたところによれば、1100億円は母子保健と子どもの健康へ、それとは別に、性と生殖に関する健康権利にも700ミリオンダラー、約600億が毎年投資されるというのだ(開始は2023年)。

Women Deliver開会式でのカナダのトルドー首相SRHRへの出資を発表した瞬間、会場は歓声に包まれた。会場は瞬時に総立ち。勿論私も加わった。私はその瞬間、本当に感無量だった。日本ではほぼ気付かれてもいない、口にすることさえ憚られているような本分野が、投資すべき重要な分野として見られている。。そしてなにより、国の元首が当然のようにSexual & Reproductive Health & Rightを「Sexual」から全て言い切ったことに、私は衝撃を受け、感動していた 写真提供/福田和子

「中学生は性交をしないもの」という建前のために性教育が充分にされなかったり、避妊も中絶も自己責任・自己負担の考え方が当たり前だったりする日本をずっと生きてきた私にとって、性に関する問題に他国の政府が真正面から取り組む姿勢を間近に見ることは、新鮮さに満ちていた。