御しやすいと思われる? 近づいてくる男たち

ギリギリまでニコニコと相手を受け入れ、最後にバンとひっくり返す。ほめられた行為ではないが、一見弱そうでいて実は頑固で手強い一面を早苗さんはもっている。こうしたタイプの女性をその見かけだけで甘く見て、どんどん増長する男性は、元夫だけではなかった。

離婚後、女手一つで娘2人を育てる健気な女性に近づいてくる男性は少なくなかった。そのうちの一人と付き合うことにした。同じ会社のバツイチ子持ちで1つ年下。娘たちも懐いたので、5年間、一緒に暮らした。

「最初はよかったんです。娘たちのことも可愛がってくれるし、娘たちも実の父親はお父さん、彼のことはパパって呼び分けて、仲良くしていました。でも、だんだんと態度が横柄に。最初は生活費を入れてくれたのに、自分の子の養育費がかかるからと出し渋るようになりました。家事は元から一切しないくせに、テレビのチャンネル権だとかくだらない権利を主張するようにもなりました。そのうち、何が不満なのか土日は朝からビールを飲んでくだを巻くようになりました。でも、私って不満があってもなかなか相手に言えないで我慢しちゃうんです」

相手を増長させたのは自分にも原因がある

それが2年前のこと。ついに限界がきて別れたのち、すでに中学生になっていた上の娘には「ママはいいとこ探しが上手だけど、もう少し、相手を見る目を養わなきゃ!」と説教された。そう、言いたいことを言わずに我慢するのは、まったく美徳ではない。相手を増長させたのは、自分の態度にも原因がある。同じ間違いを二度繰り返して、ようやく腑に落ちた。

「当分、誰とも付き合いません。というか、向こうから付き合おうと言ってきた人と付き合うのは、もうやめようと思います。私って御しやすく見えるのか、これまでは向こうからおされてなんとなく付き合い始め、いつしか相手のペースに巻き込まれてしまうパターンばかりだったんです。もしも次があるとしたら、私から好きになった人と対等な関係を築きたいと思っています」

バツイチ元カレと別れる少し前に、思うところあって転職し、保険外交員として働き始めてから視野が広がったのも、早苗さんの成長を後押ししている。

「仕事は完全歩合制で、最初は家賃を払うのもきつかったですが、次第に売り上げを上げられるようになりました。人に会う仕事なので、たくさんの刺激があります。私もこんなふうになりたいなという人にも何人も出会い、新たな夢や目標が生まれました。それで今年から、MBAを取るために大学院に通い始めたんです」

食べていくためだけの仕事ではなく、自分を高め、世の中の役に立つ仕事を。早苗さんの夢は広がる。甘い顔を見せたが最後、どんどんつけあがっていく男性に振り回されている暇はない

今、娘たちは中学3年生と小学6年生。それぞれ将来に夢をもち、希望の進路に向けて受験勉強の真っ最中だ。

「それを心から応援するのはもちろんですが、娘たちに私の夢を重ね合わせてはいけないと思っています。娘の人生は娘のもの私も自分の人生を充実させるために、自分自身の夢を追いかけていきたいと思っています」

娘二人が小学校に上がる前に二人を連れて決めた離婚。それから8年、また別の失敗もあって、自分の何が悪かったのかも、感じるようになった。今は子どもたちと前を向いて歩くことしか考えていない(写真の人物は記事とは関係ありません) Photo by iStock