残酷すぎる…中国で宅配便配達員の女性を襲った「恐ろしき実態」

モンスター顧客がここまで踏みにじる
北村 豊 プロフィール

死を選ぶほどの仕打ち

この宅配便配達員による土下座事件が報じられたのとほぼ同時期に、江蘇省常州市で宅配業界最大手である順豊速運の宅配便配達員の楊某が辞表を提出した上で“以死護尊厳(死をもって尊厳を守る)”として睡眠薬を40錠飲んだ自殺未遂事件が発生した。幸いにも楊某は家族による発見が早かったので応急手当により一命を取り止め、すでに退院しているという。

メディアが報じたところによれば、楊某が自殺未遂を起こした背景は以下の事情によるものだったという。

(1)楊某は“端午節(旧暦5月5日)”の時期に或る貨物の配達を担当した。しかし、送り状に記載されていた荷受人の電話番号は1桁少なかったために、電話で連絡が取れず、しかたなく荷送人(におくりにん)に電話で問い合わせたところ、口汚く罵(ののし)られた。
荷送人からは送り状の番号を言えと要求されたが、配達の途中で送り状の原本が手元にないので分からないと答えたところ、さらに激しい口調で馬鹿呼ばわりされた。

(2)その後すぐに、荷送人から順豊速運に配達員の楊某は横柄で口汚いなどという苦情がはいったことから、楊某は会社から事情聴取を受け、“行政分(管理ポイント)”を減点されたばかりか、所属区域の配置換えという処罰を受けた。順豊速運の規定によれば、言葉遣いの悪さ(口汚く罵ることも含む)は態度類に属する問題であり、一般には当該配達員が直接訪問して詫びる、報告書を書く、規定を書き写す、担当区域の配置換えなどによって処理するが、順豊速運の社員は入社時点で20点の管理ポイントが与えられ、減点されて20点が無くなった時点で退職することになっている。

(3)従来の担当区域を離れたくなかった楊某は、“為了尊厳可以不要工作(尊厳のためなら働かなくても良い)”旨を記した文書を書き残すと同時に辞職届を会社へ提出し、その上で“以死護尊厳”を選択したのだった。

 

6月13日、順豊速運の“董事長(取締役会長)”である王衛は同社のウェブサイト上で、同社配達員の楊某が自殺未遂を起こしたことに関し、

「昨夜一連の状況を知り、非常に驚くと共に不愉快である。1人の男が自殺未遂を起こしたのは、きっと非常に大きな圧力とつらい思いを背負った結果である。恐らく現在のサービス考課制度に問題があると思うので、速やかに検討して改善する必要がある。これは会社と私の責任であり、短時間内に皆さんへ何らかの説明を行う」

と表明した。

これを受けて、順豊速運は「今回の事件は会社にとって驚愕すると共に非常に残念なことであり、会社はすでに専門チームを組織して調査を行うと同時に職員の考課制度の見直しを行う」と公式の声明を発表した。