『わた定』吉高由里子が必死で対峙した「仲間みんなで戦う」圧力

同クールのドラマと比べてわかったこと
堀井 憲一郎 プロフィール

もちろん医師や技師がたった一人で作業を進めるわけではない。複数の人間と一緒に作業をする。しかしかなり「主」と「従」が明確になっている。誰がこの作業・施術の責任者であるかはきちんと決められている。そういうケースが多い。そして責任者は現場の施術者でもある。チームを統括するばかりで実作業をしない人がいるチームとは違う。

医療では、医師が責任を持って最終判断をくだす。チームで病状を検討することはあっても最終決断者は一人である。特殊なケースをのぞき、日常の医療現場はそういうものだろう。

あらためて医師個人に対する責任というのはかなり重いものだと痛感する。

同僚や別の技術者がバックアップに入る。手伝いをする。ただあくまで手助けである。レントゲンを撮るのも、CTやMRIを撮るのも、最終的には一人の技師なのだ。このドラマを見ていて、あらためて知った。仕事が個人プレイに近い。

『ラジエーションハウス』は医療ドラマながら、いままで主人公となることが少なかった「医療技師」にスポットを当てたところが新しかった。しかも主人公(窪田正孝)は、「じつは医師免許も持っている技師」という設定になっている。仲間には隠していたが、最後の最後、人の命を助けるために、医師免許を持っていることを明かして医療行為をおこなう。

11話をかけて最後に「水戸黄門の印籠」的などんでん返しがあって、視聴者はそのダブルスタンダードをずっと知っていたから「ああ、やっといま明かされた」というカタルシスでいっぱいになって、話がどうなったかよくわからなくなったくらいである。

どんでん返しは恋愛模様にも影響を与えて、「最後まで見たらとてもすっきりする」ドラマに仕上がっていた。最終話の視聴率が上がったのが、とても納得できる。

 

青春群像劇みたい

この『ラジエーションハウス』のタイトルバックが私はずっと気になっていた。

ドラマのプロローグ部分が数分あって、そのあとに入ってくるタイトル部分である。
 技師仲間の6人、およびともに働く放射線科医たち(プラス主人公の味方の病院長)と一緒に道(庭のようなところ)を歩いて、並んで記念撮影のように立ち止まる。いかにも「信頼できる仲間たちが集まった」という映像が作られていた。

『HERO』かよ、とおもってしまった。かつての大ヒットドラマ木村拓哉主演の検察官のドラマ『HERO』が似たようなタイトルバックだったからだ。

群像劇っぽいタイトルである。青春群像劇みたいだった。