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さらに深刻化した「徴用工問題」で日本は何を目指せばいいか

日本が妥協を図れない理由

徴用工問題は新しい段階へ

元徴用工問題は、日韓請求権協定にもとづく仲裁委員会の委員を韓国政府が任命せず、新しい段階に入った。

任命期限後の6月19日になって韓国政府は、日韓の企業が拠出する財源による元徴用工への補償に日本政府が同意するなら仲裁に応じる、という提案をした。

内容も新味に乏しいが、韓国提案の補償の仕組みに日本が同意するなら「仲裁」に応じるというのは、論理的ではない。日本政府が検討を拒絶したのは、仕方がない。

今後韓国側では、差し押さえた韓国内の企業資産の現金化などの手続きが進められることになる。追加的な訴訟が発生する可能性はある。元徴用工とされる人物は韓国内に22万人いると言われ、泥沼の展開もありうるのだ。

日本は仲裁委員会の次は国際司法裁判所に提訴することになるが、韓国は拒絶するだろう。そうなると日本は何らかの対抗措置をとりながら、国家責任法にもとづいて韓国に対する損害賠償請求を行うことになる。

非常に深刻な事態だが、解決策が見出されていない状況では、長期化・深刻化は不可避的な状況である。韓国又は日本で政権交代が起こった場合には、事態に展開が見られるかもしれないが、それにも限界はある。

この状況で、日本は何を目標にすればいいのか。

 

韓国内の立法措置だけが解決策

果たして現在の困難を打開する解決策は、あるのだろうか。

韓国の行動が必要だ。ただし、韓国司法府の判断は確定してしまった。行政府が、確定してしまった韓国司法府の判断を覆せないのは、やむを得ない。

逆に、仮に日本政府が、態度を変え、融和的な政策をとったらどうなるか。大きなリスクが生まれる。ある一件の大法院判決について妥協的な判断をしても、それで話が終わるわけではない。20万件もの類似案件が控えているのだ。ただ一瞬だけ寛容になるだけでは、何も問題は解決できない。

唯一の解決策は、韓国国会による立法措置である。少なくとも日本企業に対する追加的な訴訟を防ぐための措置が、韓国における立法行為で導入されなければ、日本企業に対する訴訟リスクは軽減しない。政治的決着のめども立たないということだ。

したがって日本政府が究極的な目標とするのは、韓国国内の立法措置の実現である。

対抗措置の導入もやむを得ないが、それは目標ではない。対抗措置として検討されている方法には、日本側にも痛みが伴うものが多い。戦略的な計算が必要である。

目標は、韓国国内の立法措置の導入だ、ということを明確にしてもいいのではないか。