4つの可能性
邦丸:アメリカとイランの間で緊張の度合いがグッと高まっています。そのきっかけになったのが、安倍さんがイランを訪れた6月13日ですか、この直後に日本のタンカーが……。
佐藤:日本の会社が運用するタンカーですね。
邦丸:このタンカーが襲撃されて、まあ穴が空いちゃったわけです。で、これをアメリカが「イランがバックにいるぞ」と、証拠資料として映像まで出してきた。ところがイランからすると、「いや、ウチがやるわけないだろう。なに言いがかりつけてんだ」ってことで、さあどっちが言っていることが本当なのか。
佐藤:これには、4種類の可能性があるんです。
邦丸:4種類!
佐藤:ひとつ目。ハメネイさんが大ウソつきだという可能性。
邦丸:イランの最高指導者ですね。
佐藤:はい。この最高指導者が実は大ウソつきで、安倍さんには「平和を望んでいる。核はつくらない」と言いながら、後ろで「やってこい」と命令していた可能性。でも、そんなことをやったら、ハメネイさん自身が「いったいどういう人だ?」と言われて、国際社会からの信用がゼロになっちゃうでしょ。イラン国内でも。だから、ないと思うのね。
邦丸:ひとつ目は消えた。
佐藤:そうです。二番目は、イスラム革命防衛隊が暴走して、ハメネイさんの知らないところでやった。
邦丸:イスラム革命防衛隊というのは?
佐藤:これはイランの最精鋭軍です。普通のイラン軍より強いの。
邦丸:正規の軍隊よりも強い。
佐藤:はい。それであっちこっちに、「革命の輸出」みたいな形で各国のテロ組織と認定されているような組織、ヒズボラとかそういったところを支援しているんですけどね。そこが暴走してやった、という見方。
一見、説得力がありそうに見えるんだけれど、これだとハメネイ師が国家を統治できていないということになる。そういう状況ではないと思うから、この二番目も違う。
邦丸:ふむ。
佐藤:三番目。アメリカの謀略。
邦丸:アメリカの謀略。
佐藤:イランが言っているのは、そういうことでしょ。しかし、謀略がばれたら大変なことになりますよね。流石にそんなことはしない。
邦丸:アメリカが自作自演でやった、という筋はない。
佐藤:そして四番目。私はこの仮説に近いんだけど、イランはあっちこっちの過激な勢力を支援していて、そのうちの一つにイエメンのフーシー派というのがあるんですよ。