すべての人に絶対知ってほしい「依存症治療」で重要なこれだけのこと

罰を与えても、解決にはならない
原田 隆之 プロフィール

ただ、この考え方は、本人の責任をあまりにも小さくとらえすぎているという批判もある。だとすると、それを補うのが「認知行動モデル」という新しい見方である。

このモデルでは、依存症からの回復には、本人の責任が大きく、専門家の力を借りながら、本人が最大限の努力を傾けることが必須だとする。

また、「医療モデル」では、薬物問題からの「回復」という言葉をよく用いるが、「認知行動療法」モデルでは、「回復」よりも、薬物依存の「克服」という言葉のほうが適切である。

「お医者さんに治してもらいましょう」という受け身的な治療ではなく、自分の認知や行動を積極的に改め、ライフスタイルを見直すことで、薬物との関係を断ち切るために不断のコミットメントをすることが治療となる。

このときに用いるのは、「認知行動療法」と呼ばれる心理療法である(認知行動療法の詳細は、「三田佳子の次男4度目の逮捕」を参照)。

 

世界的に見れば、「モラル・モデル」の考え方よりも、「認知行動モデル」の考え方が主流である。

そこで求められるのは、過ちを犯した者を、際限なく責め立てて、罰を与え続ける態度ではなく、塀の中ではなく社会の中で、依存症の克服を支えていこうとする姿勢である。

これを言うと、「日本は日本。欧米とは違う」という意見が必ず出されるが、欧米だけではなく、2016年に国連総会で「薬物依存症者に対して、処罰よりも治療を」という決議がなされている。つまり、国際社会がそのような方向をめざしているのである。

それを受けて、アジアの多くの国も薬物政策を「治療」重視へと転換しているのが現状である。世界で日本だけが取り残されていると言っても過言ではない。

国連決議もまた、理念的なものではなく、刑罰よりも治療のほうがはるかに効果的で、コストも小さくてすむというエビデンスに支えらえている。

たとえば、厳罰化は再犯率を逆に高めるという研究結果があるのに対し、治療をすれば再犯率が30%程度下がるということが厳然たる事実である。