すべての人に絶対知ってほしい「依存症治療」で重要なこれだけのこと

罰を与えても、解決にはならない
原田 隆之 プロフィール

依存症の治療の現状

もしこの国に、依存症に苦しむ人々を罰し続けるだけでなく、安心して治療を受けられる病院やリハビリセンターがたくさんあれば、何度も逮捕されたり、刑務所に入ったりすることもなく、ずっと効果的に薬物を断ち切ることができただろう。

そして彼らは無駄に何年も苦しみのうちに過ごすことなく、問題克服のための治療を受けて、スムーズに社会復帰する道をたどることができただろう。

しかし、現状では、治療を受けたいと思っても、効果的な治療を受けられる病院は限られている。専門家や専門機関があまりにも少ない。つまり、せっかく本人が、薬をやめたいと思い、治療を求めても、それが提供できていない現状がある。

そして、また過ちを犯してしまうと、厳しい罰を受ける。それに加えて、大きな嘲笑やバッシングの的となる。本人の責任だというけれど、十分な治療体制を整えることができていない社会のほうにも責任がある。

〔PHOTO〕iStock

依存症に対する考え方

依存症に対して、わが国は伝統的な「モラル・モデル」の考え方が今なお主流である。

これは、依存症になったことも、そこから脱することも本人の責任であるとする見方である。頼るべきは「意志の力」であり、その責任を果たさない者に対しては、「意志が弱い」「心がけが悪い」と責められ、罰が与えられる。

 

一方、それとは別の見方として、「医療モデル」がある。

違法薬物に手を出したことは、間違いなく本人の責任であるが、依存症になってしまったことに限れば、本人の責任は小さく、そこからの回復に対しても、本人の責任は小さいと考える。

なぜなら、それらの薬物には依存性があり、心がけが良かろうが悪かろうが、「やめたくてもやめられない」状態になってしまうものだからだ。

やめられないのは、薬理作用によって、脳の機能に異常が生じてしまうからであり、それを「意志の力」で止めたり、治したりするのは、土台無理なことである。