なるべく早く精密検査を

リキが小さい頃からお世話になっているリッキー動物病院は、先生の名前がリキと同じ「リキ先生」。

リキは先生も看護師のお姉さんたちのことも大好きなので、病院に行くと思いっきりハイになる。その日も、あまりのハイテンションぶりに、先生も「今日はどうして連れて来たんですか?」と不思議がる程。

でも診察をした途端に、リキ先生の顔が曇った。
「お腹に触れると緊張するので、痛みがあるのかもしれない」ということで血液検査をすると、肝機能を表す数値が異常に高いことがわかった。

肝臓が一時的に炎症を起こしているだけか、肝臓に腫瘍か何かができているせいなのかは、大きな病院で検査してみないとわからない。

リキ先生に、なるべく早く精密検査に行くように勧められたが、翌日からは長野の予定。しかも、実は漫画の締め切りが近いので、長野から帰ってすぐアシスタントさんたちが来ることになっていた。年末なので、仕事が終わってからだと検査に行けるのは年明けになってしまう。

楽しみにしていた全日本フィギュアだけど……フィギュアスケートよりリキのほうが大事だ。私は泣く泣く長野行きをとりやめ、翌日のクリスマス、家から車で1時間半程の街にある大きな動物病院に向かったのだった。

とはいっても、その時はまだ、それ程深刻に考えていたわけじゃない。
初めての病院に大興奮してはしゃいでいるリキは、とても重病には見えなかったのだ。

ちょっとおかしい? と思っても次は元気そうに見えて、そこまで深刻にはまだ考えていなかった 写真提供/折原みと

検査をして結果が出るまでには6時間程かかるというので、私は近くのファミレスで仕事をしながら待つことにした。

ファミレスのテーブルの上に漫画の原稿用紙を広げ、周りの視線も気にせず猛然とペン入れ。検査結果への不安を振り切るように仕事に集中した結果、何と6時間で30ページ以上もペンを入れることができた。これはかなりのハイペース! ファミレスは意外に仕事をしやすくていいモンだと、目からウロコだ(お店の方、長居してスミマセン)。

仕事が予想外に順調に進んだこともあって、私はちょっと楽天的な気分になった。
全日本フィギュアは、その日が男子フリーと女子ショートプログラム。翌日が一番の見所の女子フリープログラム。

もしもリキの検査結果が悪いものじゃなかったら、明日、1泊で長野に行ってしまおうか? 往生際の悪いことに、まだそんなことを考えていたのだった。
でも……。