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党首討論、年金にこだわって自滅した野党の「決定的な見当違い」

年金を「政争の具」にすることの限界

お粗末すぎた討論内容

令和になって初めて開かれた19日の党首討論が注目を浴びた。消費増税は予定通りで、衆院解散なしというムードの中、もし解散があり得るとすれば、党首討論での「ハプニング解散」くらいしか可能性が残されていなかったからだ。

安倍首相の相手になったのは、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長、そして日本維新の会の片山虎之助共同代表。持ち時間は枝野代表20分、玉木代表14分、志位委員長5分、片山共同代表5分、合計で44分間だった。

ハプニング解散が期待はされたものの、結局なし。立憲民主党をはじめ、野党が解散におびえて及び腰だったのだ。

 

国会終盤になると、内閣不信任決議案を野党が提出することはよくある光景だ。しかし今回、「内閣不信任決議案が出ると、解散の理由になる」と菅官房長官に一喝され、野党は口ごもるようになった。あまりに無様だ。野党なら、解散は政権交代のチャンスと意気込んでもいいはずなのに、まったく情けなかった。この段階で「勝負あり」だったと言っていい。

この党首討論で、解散のないことを安倍首相に確認してから、お約束どおりに内閣不信任決議案を提出するようでは話にならない。

本コラムの読者であれば、筆者が(1)景気論、(2)財政論、(3)社会保障論の各観点から、消費増税に反対してきたことをご存じだろう。しかし、消費増税が実行されるか否かは政治要因で決まるので、野党が一定の脅威にならないと、政権与党を増税中止に翻意させられない。野党がこの体たらくなので、政府与党は安心して、「消費増税実行」と「解散なし」で突っ走ることができたというわけだ。

19日の党首討論でも、立民の枝野代表、国民の玉木代表、共産の志位委員長は解散に言及さえせず、維新の片山共同代表が少し触れただけだった。

解散があれば、消費増税を止めるための最大のチャンスとなるが、同時に衆院議員は地位を失う。野党の政治家たちは、国民のために解散して議員を辞するのではなく、自身の身分を優先した。

では、彼らは党首討論で何を話したのか、実際の討論時間47分のうち、なんと44分が年金問題だった。外交、消費増税など、もっと重要な話題があっただろう。

しかも、その年金に関する討論の内容もお粗末だった。

野党としては、第一次安倍政権の時、「消えた年金」で当時の安倍政権の倒閣を成し遂げた成功体験が忘れられなかったのだろう。たしかに第一次安倍政権では、「消えた年金」問題が政権を直撃したうえ、「絆創膏大臣」まで出てきて、参院選に惨敗し退陣を余儀なくされた。その当時の野党には、今にも政権交代するぞという気概があり、勢いもあった。

ところが、今の野党はまったく情けない。今国会内では立憲民主党だけが、内閣不信決議案を単独で提出できる50以上の議席を衆院に持っているが、その立憲民主党が解散を怖がっているのならどうしようもない。

枝野代表は、党首討論において、民主党政権時代の年金積立金パフォーマンスなどの悪さを安倍首相から指摘されると、「民主党政権の至らない点は改めてお詫び申し上げたい」と言ってしまった。ここまできたら、もはやお笑いだ。

国民民主党の玉木代表も、年金制度に対する理解不足を露呈してしまった。玉木代表は「年金積立金は36年後に枯渇する。今の政策を見直すべき」と安倍首相に問うた。というか、自分の演説になってしまって、安倍首相から答弁を引き出す前に時間切れになってしまった。

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