息子を不良少年に殺された母親が、苦しみと向き合い続けた22年間

同じ悲劇を繰り返させないために
松岡 久蔵 プロフィール

恨む気持ちは消えなくても

犯罪被害の当事者になったら、ましてや自分の息子や娘を殺されたら、悲しみにくれ、事件から目をそらして、無理矢理にでも忘れようとする人が多いだろう。高松さんの場合、加害少年やその家族に裏切られ続けているだけに、なおさらそう考えそうなものだが、そうではなかった。

「私は根本のところで、加害少年たちのことを『加害者であり、同時に聡至の友達だった』と考えているんです。

もちろん現実の加害少年に対しては、復讐して殺してやりたい、聡至を返して欲しいという思いは今もありますし、一生消えないでしょう。当時の加害少年が子供を連れて歩いているのを見かけると、『お父さんは私の息子を殺したんやで』と言ってやりたい衝動にも駆られます。

ただ、そういう加害少年個人に向ける私の感情とは別に、『非行少年だった聡至も更正できたんだから、自分や社会の力で一人でも多くの少年を更生させることができれば、二度と私のような思いをする人を出さないで済む』という思いもある。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、これも本当の気持ちなのです。

 

聡至だって、私たち家族や野球部の監督、友人がいなければ、別の誰かに暴力をふるう加害者になっていたかもしれません。私だって、こういう風に話せるようになるまで20年かかったわけですから、こんなことを言うと綺麗ごとだととらえる人もいるかもしれません。

ただ、加害少年や家族に対して、決して叶うことのない期待や晴れることのない恨みを抱き続けるよりは、支援活動を通して、犯罪被害と闘うほうがいい。いつか聡至に会える日が来た時、聡至が『お母さんの息子でよかった』と言ってくれればいい。今はそう考えています」

聡至さんの部屋は、いまも事件の日のままになっている

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