アメリカがどうしても中国共産党を破滅に追い込みたい「本当のワケ」

存在そのものが問題だ
橋爪 大三郎 プロフィール

中国企業の成長スピードが速いワケ

華為(Huawei)という企業がある。もとは軍を退職したなどの数人が始めた、小さな企業だった。それが数十年のあいだにみるみる成長し、中国を代表する巨大企業になった。中国には、中国銀行や建設銀行や工商銀行や…、多くの国策銀行がある。各地の支店(分行)は地方政府と結びついている。

成長する企業は、地方政府や、それを越えた中央政府とネットワークを築き、融資や優遇措置を受けられる。アメリカなら、ベンチャー企業にエンジャルやファンドが寄って来る。いっぽう中国では、共産党自らがエンジェルを買って出る。これはと思う企業に資金や人員を集中するから、その成長のスピードは速い。

先端技術は、軍事産業とも結びついている。世界中でビジネスを展開し、研究機関で働く人びとは、共産党員である場合が多い。党員なら、党の指示に従っても不思議でない。これがアメリカには、知的財産権を侵害する、産業スパイにみえる。なんだ、中国の人びとは、全員党員で、情報工作員なのか。

 

中国の経済規模は、アメリカに迫ってきた。アメリカを追い抜くのは時間の問題だ。そうなってから、中国に言うことを聞かせるのはむずかしい。やるなら今。むしろ遅すぎたぐらいだ。

知的財産権や、ダンピングや、国家安全保障や、ありったけの口実をかき集めて、中国の輸出品に関税をかける。華為など標的企業をねらって、取引停止の包囲網をしく。殴り合いで勝つのが目的だから、殴り返されるのはがまんする。中国が「降参しました」と言うまで、手をゆるめるわけがない。

では中国の、どこが問題か。政治と経済が不可分であること。その根源は、中国のあらゆる組織に張りめぐらされた共産党のネットワーク。中国共産党の存在そのものが、問題なのである。

この、ビッグブラザーを地で行くような組織は、伝統中国のものではない。伝統中国の官僚組織は、末端の宗族や地方自治や経済活動を放置して、直接介入しなかった。いまは末端まで党組織を張りめぐらし、ビッグデータを駆使して監視の眼を光らせる。共産党の意向が優先するなら、人民の意思を政治に反映する回路は閉ざされる。

共産党の独裁は革命ではなく、幹部の権益を守るものに変質している。こんな体制に、国際社会をリードさせてはならない。自由を守らなければならない。それには、中国共産党の体制に、メスを入れることだ。トランプは担がれた御神輿で、それを支える、アメリカの幅広い合意がある。

中国が「降参しました」と言えば、中国共産党はもたない。「降参しました」と言わなければ、中国がもたない。アメリカは、簡単な妥協には応じない。情勢が深刻になると、共産党を守ろうとする保守派と、中国の未来を打開しようとする進歩派とのあいだに、亀裂が生じるだろう。アメリカはそれを、待っているのだ。

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