「ドラマにしろ、バラエティにしろ、最近、制作会社からあがってくる番組の企画書を見ると、やたらと『AI』という文字が目につく。
ドラマなら原作のコミックに何人のファンがついて、主演にジャニーズの誰々を起用すれば『AIが視聴率15%と算出』といった具合に、調子のいいことが書いてあるんだけど、上層部はこの『AI』っていう言葉に弱くてね。企画自体が無難なこともあって、会議で通しちゃうんだよね」
こう嘆くのは民放キー局の社員だ。
AIというと聞こえはいいが、要するに、実際に制作に「GOサイン」が出るのは人気番組のパクリ企画ばかりで、その傾向はとくにバラエティで顕著だという。
「今なら20%の大台に乗せた『ポツンと一軒家』(テレビ朝日)の二番煎じの企画ばかり。このご時勢、2ケタ取れば御の字だから、多少のパクリ感があっても、AIがはじき出したデータはスポンサーを納得させるのに好都合。
とはいえ、AIの予測が外れて大ハズレのケースがほとんど。実際にAIを使ったかどうかも疑わしい企画書もある」(民放キー局社員)
テレビをつければ似たり寄ったりの番組ばかりという状況は今に始まった話ではないが、若年層のテレビ離れが進む中、完全に守りに入っているのが現在のテレビ業界である。
「優秀なテレビマンの間では、『面白い番組が作りたければNHKに行け』というのが共通認識になっている」(民放キー局社員)