「えっ、日本ってそうなの!?」
衝撃受けられ改めて気づく日本の現状
私は今回、「包括的性教育はいかに若者をエンパワーするのか」というセッションで登壇の機会を得た。そこで以上のような日本のSRHRをめぐる現状を100人にのぼる世界中から来た参加者に訴えた。
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話しはじめてすぐ、参加者の顔は歪んでいった。海外の方に日本の実情を話すと、たいていそうなる。そして最後、中絶方法・費用の話になると、会場は一気にどよめいた。セッションの終了後は、「日本の現状を知らなかった」「声を上げてくれてありがとう」沢山の人たちに声をかけられた。
また、私の登壇したセッションはデンマーク外務省が主催したもので、デンマークのメアリー皇太子妃も来場していた。彼女は会終了後直接質問にいらした。
「日本は子ども減ってるのよね、そうすれば経済も下がっていくだろうし。日本の女性が根本的にエンパワメントされて活躍できるようにしなければ国としても大変でしょうに、どうしてそういう状況なの?」
返す言葉がないとはこういうことか。答えになるかは分からないが、国会議員の女性比率が1割以下で、女性が抱える困難を議題にしてもらうことの難しさがあることは伝えた。
私は登壇時以外にも、チャンスさえあればなるべく日本の現状を伝えた。相手の出身国に関係なく、反応は皆似ていた。
「全然知らなかった」
「それでは若い人がアクセスできなくて当然」
中には「ネパールでは避妊法全部無料であって、私は看護師で避妊法の知識は完璧だから、日本に行って避妊法のこと伝えようか!」とまで言ってくれる人もいた。
その中でひとり、私の目を完全に覚ましてくれたのが、ガーナから来た女の子だ。
「その状況おかしいよ!私たちの基本的な権利なのに、それが侵害されたままで日本のひとたちは怒らないの!?」とガチ切れしたのである。
日本には児童婚や女性器切除はないからまだいいのよ、なんて言えるような騒ぎではない。文章だとイマイチ伝わらないのが歯痒いが、本当に、彼女は「キレて」いた。
私のプロジェクトの名前は「#なんでないの」というもので、現状に疑問を抱いてみてほしい、そんな思いで名前をつけた。しかし現実はそんな甘いものではなく、SRHR、私たちにとって当然であるはずの医療、教育、権利が侵害されていれば、その度合いに関係なく、改善を求めていいし、求めるべき、そして私たちの直面する現状は本来激怒案件なのだと、私は通感した。