日本のなにが「ヤバい」のか?

そもそも、SRHRに関して、日本の一体どこが遅れているのか。それは、性教育、避妊法へのアクセス、安全な中絶へのアクセスなど、あげればきりがない。

例えば性教育に関して、近年は様々な国連機関が一緒になって性教育の国際的ガイダンスを発表している。そこではからだや生殖のことのみならず、関係性の構築やジェンダーの多様性など、包括的な内容を扱い、年齢も5歳からはじまる。

一方日本では、2018年4月に、「避妊」「性交」「人工妊娠中絶」といった言葉に触れた学校の教員が、東京都議会にて名指しで批判されるような事態が起こっている(その後東京都教育委員会は学校側のやりかたを容認する姿勢を見せた)。そのような中で、子どもたちはインターネット上に溢れる有害な性情報や、望まない性的視線に晒されている現実がある。

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また、避妊法に関しても、コンドームより避妊成功率のはるかに高い現代的避妊法の多くが日本では認可されていない。WHOの必須医薬品リストに掲載があるにも関わらず、だ。認可のある低用量ピルも、諸外国より高額だ。その上で、緊急避妊薬も、90以上の国で薬局での販売があるにも関わらず、日本では未だに処方箋が必要で、値段も1.5万円前後と類を見ない高額さとなっている。

コンドームは一般的避妊成功率は82%程度のため「性感染症予防」、避妊のためにはより効果の高い方法を「併用する」ことが常識。日本では避妊実行率そのものも平均54.3%(先進国平均72.4%)に加え、避妊法もコンドームが40.7%(世界平均8.0%)。低用量ピルはわずか1.0%で「男性主体の避妊(かつ確実性は低い)」のが現実だ Photo by iStock

更に中絶ともなれば、最も母体に負担の少ない中絶薬の認可がなく、手術に関しても、より安全な吸引法ではなく、掻爬法という、WHOが安全でない方法としている搔き出す形の手術が一般的だ。従って、中絶費用も10~20万円と高額だ。ちなみに、イギリスやフランスにおいて中絶は国の保険によりカバーされ無料である。

そのような状況下において、日本では今でも、最後までSRHRサービスに辿り着けず、妊娠によって高校の自主退学を半ば強制されたり、孤独な出産の末に虐待死に至って逮捕されたりといったことが繰り返し起こっている。厚生労働省データをみると、実際に、心中を除く虐待死がいつ起きたかというデータを見れば、もっとも多いのは産まれたその日だ。