月収3900円…世界のファストファッション工場、バングラデシュの苦境

4000人が生き埋めの事故から6年
梶井 照陰 プロフィール

ヒジュラの世界は上下関係がはっきりしてましてね。シュミが余計な告げ口をSにしたんですよ。それがきっかけでずっと揉めてる……」

急な出来事に私が驚いていると、傍らのヒジュラの1人が教えてくれた。聞けば、グループで禁じられているルールの一つ(男に体を売って金を稼ぐこと)を犯した先輩の行動をシュミはSに告げ口したのだという。かつてシュミもそうした行動をした際、Sにきつく叱られたからだ。しかし、Sは先輩の行動を見て見ぬふりをした。

「なぜ先輩は許されて、私は許されないのか」とシュミがぼろぼろと涙を流しながらSに訴える。それに対してSは、「先輩はこのグループにとって必要な存在だ。下っぱのお前にどんな取り柄があるんだ」と厳しい言葉を投げ掛ける。

「ここから出ていきたければ出ていけばいい。しかし、私がお前に貸した金はきっちり返してからだ」

出て行ったところで、1人で生きていくには厳しい世界だ。シュミはそれ以上の言葉を喉元に留め、服の袖で涙を拭った。

 

娼婦にヤクザ、薬物中毒者に労働者。スラムには様々な人たちが暮らし、100人いれば100通りの生きざまが存在する。這い上がることのできない堂々巡りの日々。スラムの路地では、今日も昼休みを終えて女工たちが縫製工場へ向かう。明日への希望を求めて。

「DIVE TO BANGLADESH」写真展
2019年8月4日(日)まで、東京・千代田区のKanzan Galleryにて開催。
12:00-19:30/日曜17:00まで/月曜定休/入場無料