月収3900円…世界のファストファッション工場、バングラデシュの苦境

4000人が生き埋めの事故から6年
梶井 照陰 プロフィール

月収3900円で4人家族を養う

現在、ダッカには4000カ所以上のスラムがある。空の玄関口であるダッカ空港の郊外にも小さなスラムがあり、その付近にも縫製工場が点在している。売春宿へ客を招く男逹の声を背に、大粒の雨が降りしきる中スラムをしばらく歩いていると、縫製工場から昼休みのため若者たちがぞろぞろ出てきた。そのうちの1人に工場の仕事について尋ねた。

彼女の名前はアスマ(18歳)といった。

アスマとその息子〔PHOTO〕Syoin Kajii

「縫製工場は数年前から働いています。12歳で結婚して、職を求めてダッカに来ました」

トタンに覆われた彼女の家を訪ねると、アスマは工場で働き始めた経緯について聞かせてくれた。現在、彼女は父母と1人息子(5歳)の4人暮らし。若くして結婚した彼女は、ギャンブルに明け暮れてばかりの主人と1年半前に離婚し、息子を養うため縫製工場で働き始めた。

縫製工場の給料は1ヶ月3000タカ(1タカは約1.3円)で、夜勤は1000タカ。最近は賃金未払いで、暴動が起こることもしばしばある。家賃や食費を賄うのが精一杯で、息子を学校へ通わせることはできそうにない」とアスマは言う。

 

アスマの暮らすスラムからバスで40分、テジガオンは線路沿いにトタンの家々が並ぶスラムだ。日中から平然とガンジャ(大麻)が売られているこの地区で暮らすサディさん(40歳)は果物を1日中売り歩く。

「田舎で農業をしていたけれど土地が無くて」。せめて10万タカあれば食べていけるだけの土地が持てると一念発起し、妻子とともにダッカに出稼ぎに来たという。

「娘は縫製工場で働いているけれど、生活するだけで精一杯。いつになったら土地を買うだけの資金が貯まるのか…」

ため息混じりにそう言うと「もっと良い働き口があるといいけど」と言葉を残し、再び果物を売るため歩き出した。