撮影/伊藤孝司

経済制裁下の北朝鮮が、それでも「経済成長」を続けられる理由

41回目の訪朝取材で見てきたもの

撮られることに慣れた市民

平壌(ピョンヤン)地下鉄の、千里馬(チョンリマ)線の凱旋(ゲソン)駅が改装されたというので行ってみた。ホームまでの長いエスカレーターが通るトンネルは、以前はかなり暗かったので不気味感さえあった。

それがすっかり明るくきれいになり、天井から吊られたいくつもの大型モニターは、音楽公演などを映し出している。

2016年に導入された国産車両に乗り込むと、乗客はまばら。しかし途中の駅でたくさんの人が乗り込んできて、私の隣には小さな子どもを抱いた母親が座る。その子どもが無邪気で可愛らしいので、母親に写真を撮らせて欲しいと言うと、構わないとのこと。

超広角レンズを付けた一眼レフカメラで思い切り近寄り、30枚近くシャッターを切る。そのようすを、周りの乗客たちは笑顔を浮かべながら見ている。以前なら人々の厳しい視線を浴び、年配者からはクレームをつけられていただろう。

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の人々は、写真を撮られることに確実に慣れてきた。今回の取材では、工場・病院・学校・娯楽施設などを訪問。施設の説明を収録するため、案内員にビデオカメラを向け続けた。数年前までは、それをするには事前に交渉が必要だったが、今ではごく自然に撮影させてくれる。

こうした変化は、この国の人々にとって「写真を撮る」という行為が日常的になったことを示しているのだろう。スマホで撮影している光景は、まったく珍しくなくなった。

 

それに加えて、怒涛のように押しかけて来ている中国人団体観光客が写真や動画を撮りまくっていることも一因かと思う。外国人にカメラを向けられることへの拒否感が薄れたのだろう。