アメリカで「大学入試」が大きな議論を呼んでいる理由

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畠山 勝太 プロフィール

会場へのアクセスと試験結果の関係

教育政策を考えるときに、貧富やジェンダー格差など、さまざまな格差要因を考慮するが、都市と農村の格差も重要な要因である。

センター試験に限らず、TOEFL・GREなどの試験にも当てはまるが、一般的に都心部ほどテスト会場へのアクセスが良い一方で、農村部ほどアクセスは悪くなる。

では、この試験会場へのアクセスの違いは、何らかの影響を持つのであろうか?

 

先に答えを述べると、試験会場へのアクセスは影響力を持つ。

米国でこれを分析した論文によると、所属する高校がSATの受験会場となった場合、SATを受験した生徒の割合が8.5%増加しただけでなく、その近隣の高校の生徒の受験者割合も2.6%増加している。そして、所属する高校がSATの受験会場だったのにそうでなくなった場合、受験者割合が5%低下もしている。

しかし、米国の大学の退学率は日本と比べて高いため、SATの受験会場が近くなったからSATを受験して大学へ進学したタイプの生徒は、SATの受験会場が遠くとも試験を受けて大学へ進学したタイプの生徒と比べて退学率が高く、結局のところ無駄なのではないだろうか。

私はそう疑問に思ったし、このような疑問を持つことは米国の高等教育政策に関心がある人なら一般的だと思う。だが興味深いことに、この両者の間では退学に関して大きな差は見られなかった。

やはり、受験会場までのアクセスは実際にテストを受験するかどうかに影響を与えている。

現行のように年に一度の実施でこのタイミングで受験しなければならないシステムから、年に複数回実施してどこかのタイミングで受験すれば良いシステムへ移行した場合、試験会場へのアクセスの悪さから受験機会を逃してしまう生徒が出てきてしまう可能性がある。

ここに対処せずに単純に複数回受験できるようにしただけでは都市と農村の間の格差を拡大させてしまう恐れがあるのは留意が必要であろう。