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アメリカで「大学入試」が大きな議論を呼んでいる理由

ハーバードの差別、著名人の入試不正…

なぜいま、大学入試が話題なのか

太平洋を挟んだ両国で大学入試が話題だ。

日本ではセンター試験から大学入学共通テストへの切り替わりが予定されており、様々な角度から議論がなされている(詳しくは文部科学省・大学入学者選抜改革のページを参照)。

米国ではハーバード大学でのアジア人に対する入学差別の話やエリート大学での入試不正問題から、SAT(Scholastic Aptitude Testの略、College Boardという民間のNPOによって開発され、TOEFLなどでも有名なEducational Testing Serviceによって実施されている。SATの他にACT(American College Testing)と呼ばれる試験も存在するが、字数の都合上SATとまとめて議論する)と呼ばれる日本のセンター試験に若干似ている学力試験への逆境スコアの導入へと話が飛び火している。

そこで今回は、日本のセンター試験を中心とする入試問題を考える一助となるような形で、反面教師として米国が直面する入試問題と、それに対してどのような策が採られたのかを見ていく。

さらに、政治的なモメンタムが得られず実施に移されていないが、日本が教師として参考にできる入試問題に関して蓄積されたエビデンスも紹介したい。

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米国が直面した「二つの問題」

この1年の間に、米国では大きな二つの入試問題が発生した。

一つ目はハーバード大学でのアジア人に対する差別問題である。

一言で言えば、アジア人のSATの成績が良すぎるために、入学者の人種間バランスを保つためにアジア人の合格ラインを他の人種と比べて異常に高くしてしまっていたというものである。

 

二つ目は、『デスパレートな妻たち』に出演していた女優が絡んでいたことで大きく話題になった入試不正問題だ。

超富裕層が代理人に大金を支払い、この代理人は偽の障害診断書を作成させてSATのテスト時間を不正に伸ばしたり、SATの替え玉受験をさせたり、高校スポーツのコーチに賄賂を渡して不正な競技実績を入手したりして(米国の大学入試は、特に有名大学になるほど学力だけでは不十分で、社会貢献活動やスポーツでの実績が求められたりする)、依頼人の子供を有名大学に合格させていたというものであった。

一般人の生涯年収をかき集めてもまったく足りないような巨額の寄付を大学に行い、建物の一つでも建ててあげて子供を入学させるのは合法であるが、エージェントに一般人の年収の数年分を支払って細工をして子供を入学させるのは違法なのである。