2017年12月、写真家の幡野広志さんはブログ上で、自らが多発性骨髄腫という難治性のがんにかかっていることを公表した。彼が刊行した『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために』には、幡野さんが身体の異変に気づいた日から診断・告知に至るまで、そしてがん公表後に出会った人々との話が綴られている。
特筆したいのは本書が、幡野さんの言葉や勇気に共鳴した人々に、幡野さんが直接話を聞きに行き、まとめていった記録でもある点だ。闘病、教育、虐待、家族、そして死—。さまざまなテーマについて幡野さんが全身全霊で取材して、記した軌跡ともいえる。そこには、なんらかの生きづらさを抱えて生きる私たちが社会で暮らすための、大切なヒントが散りばめられている。
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ライターの梅津有希子さんによるインタビューでは、著書にも取り上げている、ときに生きづらさの原因になりうる親子関係について語っていただいた(本文記事はこちら)。
その記事に掲載した、幡野さんの2冊の書著『写真集』と『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために』からの写真を改めてお届けしよう。
『ぼくたちが選びたかったことを、選びなおすために』
2017年3月に感じた違和感から知ったときのことから、様々な「選択」について全身全霊をかけて紡いだ一冊。家族、友人、仕事、生と死――幡野さんが多くの人を取材し、対話をして見えてきたものが強く優しく私たちに伝わってくる。