まさか! 530年前の「英国王の遺骨」が、駐車場から発掘された?

「歴史のウソ」をDNA鑑定が暴いた話
石浦 章一 プロフィール

私はこのほど、主として英国王室とエジプトのファラオを対象におこなわれたDNA解析の結果をもとに、それが、これまで伝えられてきた歴史とどう合致し、どう異なるのかを紹介することを目的に『王家の遺伝子』を上梓した。

同書では、たとえば前述のリチャード3世に関して、人々が従来、抱いてきたイメージとは異なる実像が明らかになる。実際の姿とはかけ離れた“虚像”がなぜ、独り歩きしてきたのか、その理由にも迫っていく。

また、「永遠の生」を求め、自らをミイラ化したファラオたちは、数千年の時を超えて現在の私たちにDNAを伝えてくれている。彼らのDNA解析から判明した、意外な事実とはどのようなものだったのか? そこでは、あの有名なツタンカーメン王の新たな謎が明かされる。

ツタンカーメンの黄金のマスク Photo by gettyimages

先にも記したように、歴史には「飛躍や欠落、あるいは意図的な秘匿」が含まれている。あらゆる出来事を記録するのがそもそも不可能であることに加え、後世の人間にとって最も都合のよい事実だけが、時に脚色をまじえながら伝えられてきたことが、その理由だ。

しかし、DNAに刻まれた歴史には、都合よく脚色を施すことはできない。そして、物質としてのDNAが残るかぎり、そこに記録されたすべての過去は、飛躍も欠落もなく現在に伝わっている。

遺体(遺骨)の残された王家の人々から抽出したDNA、すなわち「王家の遺伝子」こそ、言語で記された歴史からだけでは見えない史実を、いまに伝えてくれる重要な遺産なのだ。

歴史が科学と出会い、科学が歴史を書き換える──。「DNAが歴史のミステリーを解き明かす時代」が到来しているのである。

絶滅した生物を蘇らせる「合成生物学」とは?

同書を著すにあたって私は、王家の遺伝子にまつわる物語を縦糸にしながら、その解析を可能にした生命科学の最新情報を横糸として織り交ぜた。

王家の人々のみならず、すべてのヒトは同じDNAをもつ。では、個々の人物を特定するための違い=個人差は、DNAのどこにあるのか?

DNAを解析することで、「何が」「どこまで」わかるのか?

遺伝子はいったい、「何を」「どこまで」決めているのか?

ヒトのDNAのじつに50%近くが「繰り返し配列」でできているという。果たしてそれは、どんな意味をもっているのか?

話題のゲノム編集は、望みどおりの外見や能力をもつ「デザイナーベビー」を可能にするか?

マンモスなどの絶滅した生物を蘇らせるという「合成生物学」とは?

マンモスが蘇る日は来るのか illustration by gettyimages

王家の遺伝子』で世界史の謎解きを楽しみながら、DNAや遺伝に関する理解を深めていただければ幸いである。