まさか! 530年前の「英国王の遺骨」が、駐車場から発掘された?

「歴史のウソ」をDNA鑑定が暴いた話
石浦 章一 プロフィール

岡崎慎司ゆかりの地で見つかった謎の遺体

歴史は勝者によって書かれる、という。

リチャード3世を倒すことによって樹立されたテューダー朝の時代に生きたシェイクスピアにしてみれば、前王権を悪役に仕立て、現王権の勝利で終わる筋書きは、自身を庇護してくれたテューダー朝を礼賛するものでもあったのだ。

ところが、さしものシェイクスピアにも、予想もつかない出来事が起こった。

じつは、リチャード3世の遺体は没後、いったんは埋葬されたのちに行方不明となっていた。

シェイクスピアによる過剰なまでの悪役としての描写が、ある種の信憑性をもって人々に受け入れられてきた一因として、「遺体の行方が杳(よう)として知れない」というミステリアスな事実が大きくはたらいていたのは否定しがたいはずだ。

ところが、ロンドン五輪が閉幕して間もない2012年の晩夏、おどろくべきニュースが世界中をかけめぐった。

イングランド中部の都市・レスター市内の駐車場で、リチャード3世のものと思しき人骨が発見されたのである。

レスター市内の駐車場で見つかった遺骨 Photo by Richard Buckley,etc.

レスター市といえば、サッカー日本代表の人気選手・岡崎慎司が2015年から4シーズンを過ごしたレスター・シティFCの本拠地だ。

シェイクスピアが犯した間違い

リチャード3世協会やレスター市、レスター大学などの協力のもとで調査がおこなわれ、この人骨には「駐車場の王様(King in the car park)」という名前がつけられた。

21世紀になって掘り起こされたこの人骨からは、DNAが抽出され、詳細な鑑定がおこなわれた。その結果、400年前に生きた大作家が、“ある間違い”を犯していた事実が判明したのである。

「駐車場の王様」は、ほんとうにリチャード3世だったのか?

そこに残されたDNAは、いったい何を知っていたのか?

そして、シェイクスピアが欺かれてしまった彼の身体的特徴とは?

生命科学の進展が可能にしたDNAの詳細な解析は、英国王室を震撼させる「ある意外な事実」をも指し示していた──。