AI時代に身につけるべき力「非認知能力」ってどういうこと?

メンタルを健康に育てる、見えない栄養
非認知能力──数年前から、耳にするようになったこの言葉、ご存知ですか?

AI化が進むなど、これからの社会は大きく変化していきます。そんな変化の時代を生きる子供たちに必要な力、それが「非認知能力」と言われています。平成30年度に政府が示した「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿という初等教育における指針も、非認知能力の影響が強く感じられます。

「では!」と意気込んで非認知能力の説明を読んだり聞いたりしても、イマイチぴんときません。一般の人に向けたわかりやすい解説があまりなかったからかもしれません。

NHK Eテレでおなじみの大豆生田 啓友(おおまめうだ ひろとも)教授は、以前からこの「非認知能力」の可能性に気づき、その育みを提唱してきました。とっても大切、けれど特別で難しいことではない、と言います。

非認知能力とはどういう力で、どうすると育つのでしょうか?


※平成30年度4月改訂の、文部科学省「幼稚園教育要領」、厚生労働省「保育所保育指針」、内閣府「幼保連携型認定こども園 教育・保育要領」 に盛り込まれた。

これからの世の中で必要となるチカラ

  • AI化によってなくなる職業
  • 「急速に進展するAI化に不安」の調査結果

こんな見出しがメディアに踊る昨今。将来のある子どもを持つ親としては、かなり気になる問題です。

今後、これまでの暗記型の知識は、あまり重要ではなくなると考えられています。それに対して、主体的、対話的に学んでいく力や、物事をやり遂げる力など、生きていくうえで重要な資質が、より重視されるようになってきました。

【写真】暗記型の知識よりたいせつなものが重視されるように
  暗記型の知識より重視されるようになる"力"とは!? photo by gettyimages

IQよりも価値がある資質を育む

いまから50年以上も前、アメリカで行われた「ペリー就学前プロジェクト」と呼ばれる研究調査は、幼児期の早い段階で教育的介入が必要だというエビデンスとして広く知られています。

とくに、IQの上昇などの学習効果よりも、成長後の精神的な健全さや幸福感が高まるなど、内面的な力や資質が育まれることが注目されました。

この内面的な力や資質を「非認知能力」と言います。

※「社会情動的スキル」など、ほかの用語もありますが、本稿では「非認知能力」でお話しします

ノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマンは、この調査をもとに研究を進め、2015年に発表した書籍、『幼児教育の経済学』は大きな話題となりました。日本でもマスコミなどでさかんに取り上げられ、この本で紹介された非認知能力という言葉が、一般の人々の間にも広がるきっかけとなりました。

非認知能力とは、読み・書き・計算などの認知的能力に対して、数値化しにくい能力のことを言い、次のように整理されています。

目標の達成
忍耐力・自己抑制・目標への情熱
他者との協働
社交性・敬意・思いやり
情動の制御
自尊心・楽観性・自信

より具体的にいうと、自ら主体的に物事に取り組む、自分の気持ちをコントロールする、他者とコミュニケーションが取れる、自分に自信を持つ、などのことです。

乳幼児期にこうした能力を育むことで、成長後の精神的な健全さや社会性を高める資質となると考えられているのです。

では、こうした非認知能力を育むためには、どうしたらよいか? 何か特別なプログラムがあるのでしょうか?

いえいえ、必要なのはたった2つだけのこと、といったら驚きますか?