厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由

高層階ほど現れる現象とは?
榊 淳司 プロフィール
 

もしタワマンに住むことによって健康被害が生じるような何かがあるのなら、我々はあらかじめそれを知っておかねばならないはずだ。

1990年代の終わりに、東海大学元講師の逢坂文夫氏が行った調査が語り継がれている。ここでは詳しく触れないが「高層階に住むほど妊婦の流産率が高くなる」という有意のデータが得られている。

私の知る限り、これ以後は高層階居住と人体の健康を関連される研究は行われていない。ちなみに、この逢坂氏の調査は当時の厚生省の委託で行われた。しかし、この研究結果を発表して以後、研究費が出てこなくなったという。

拙著『限界のタワーマンション』では、タワマン高層階に住む小学生は成績が伸びにくい、あるいは近視になりやすい、といった専門家の主張も紹介している。それぞれに説得力のある意見であり、エビデンスも存在する。

私は、タワマンというものが人体に対してまったく無害であるとはどうしても思えない。かつて建材に使用されていたアスベストは、長らく安全だと信じられてきたことで多くの人々に健康被害をもたらした。国民の健康を守る立場にある厚生労働省は、いち早く「タワマンと人体の健康」について本格的な調査を始めるべきだと考える。

タワマンが本格的に住宅市場に登場してから、まだ20年程度に過ぎない。もし、何らかの危険性が隠されているとすれば、今後20年でそれが噴出してもおかしくない。一刻も早い調査の着手が望まれる。