高齢ドライバー交通事故「加害者と家族」が明かす、苦悩と後悔の日々

起きてからでは、取り返しがつかない
週刊現代 プロフィール

「犯罪者の家族に」

米田さんは現行犯で逮捕されたが、高齢ということもあり、すぐに釈放された。その後、在宅起訴され、執行猶予付きの判決を受けている。

「意外にも、免許は1年間の停止という処分で、取り消しにはなりませんでした。でも、恐くなってすぐに返納しました。いまは、車を目にするだけで辛い気持ちになります……」

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後遺症の残った被害者に支払う賠償金や入院費などの合計は、全部で1200万円ほど。すべて保険でまかなわれた。

だが、米田さんが切望している被害者への直接の謝罪は、いまだ果たされていない。被害者側が会うことを頑なに拒んでいるためだ。

事故で生活が一変したのは、加害者である米田さんの家族も同じだった。

「近所の皆さんとは仲が良かったのですが、すっかり没交渉になりました。別に、変な噂を流されたとか、意地悪をされたというわけではありません。

ただ、『事故を起こした人間が世間様と笑っておつきあいしていいのか』という負い目がいつも頭から消えなくて。気づけば、食事の材料を買いに出るとき以外は、ほとんど家の中に閉じこもるようになりました」

 

一日中家の中で過ごす日々が続けば、気分はますますふさいでいく。ほどなくして、4歳年下の妻とは、言い争いが絶えなくなった。

「もともと妻からは『そろそろ運転は控えたら』と何度も言われていたんです。妻としては『あれだけ言ったのに』という気持ちだったのでしょう。

一度、ケンカの拍子に『アンタのせいで、私は犯罪者の家族になっちゃった』と言われたときは、さすがに堪えました。

結局、妻は昨年この家を出て、東京に住む息子夫婦と同居するようになりました。離婚したわけではありません。ただ、毎年盆暮れにウチに来て孫の顔を見せてくれていた息子夫婦も、事故後は一切寄り付かなくなりました」

米田さんの家は、JRの最寄りの駅まで歩けば1時間以上かかる。ここ数年でめっきり足腰が衰えたという米田さんにとって、車抜きで送る生活は非常な困難が伴う。

「病院に行くにも、日用品を買いに行くにも、いまはすべて地域のコミュニティバスを使っています。あのスーパーへはもう行かれないので、買い物は、隣町まで行かなければいけない。タクシーを使えれば良いのでしょうけれど、そんな余裕もありません。

この歳で、まさかこんなことになるなんてね……。いまの私の人生に、希望はなにもない。私にできるのは、被害者の方が回復するよう、毎日仏様にお願いをすることだけです」