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高齢ドライバー交通事故「加害者と家族」が明かす、苦悩と後悔の日々

起きてからでは、取り返しがつかない

今年に入って、高齢ドライバーによる交通事故がたびたび世の中を騒がせている。他人事のように眺めていても、自分がいつ当事者になるかわからない。加害者の家族たちが、苦しい胸の内を明かした。

加害者の後悔

「交通事故加害者家族からの相談は絶えることがありませんが、とりわけ加害者が高齢者だった場合、本人はもちろん、運転を止められなかった家族が、本人以上に重い罪の意識を抱えてしまうケースが非常に多いです。

交通事故は、たいてい賠償金が保険でカバーできてしまううえ、刑にも執行猶予がつく場合もある。そのため、かえって被害者側の『許せない』という気持ちが募りやすく、加害者側が謝罪をする機会すら与えてもらえない場合も少なくない。

そもそも、普通に生活していた人が不意な過失によって加害者になってしまうだけで、精神的に受けるダメージは計り知れない。罪の意識に苛まれて自殺してしまうケースも何度も見てきました」(加害者家族を支援するNPO法人「ワールドオープンハート」の阿部恭子代表)

交通事故によって重篤な怪我を負わされたり、命を落とした被害者と、その家族の人生が台無しになってしまうのは言うまでもない。

だが、加害者側もまた、事故を境に、大きな十字架を背負ってその後の人生を過ごさなければならなくなる。

 

「事故後の聴取で、警察の人に何度も『なぜ踏み間違えたのか、順を追ってきちんと説明して欲しい』と問われましたが、肝心な部分は本当に覚えていないんです。自分としては、間違いなくブレーキを踏んだつもりだったんです」

こう語るのは、埼玉県に住む米田光一さん(80歳・仮名)だ。

米田さんは、'16年の12月、県内のスーパーの敷地内で、買い物を終えた50代の歩行者の女性をはねてしまった。女性は命に別状はなかったものの、足に障害が残った。

「スーパーの駐車場に車を止めようとしましたが、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまいました。

その結果、車は車止めを乗り越え、後ろを歩いていた女性を巻き込んでスーパーの壁に激突してしまったんです。あわてて車を降りたら、車の後ろが潰れて、真横に女性が倒れていました」

涙をボロボロとこぼしながら語る米田さんだが、運転当時は健康そのもので、免許更新時に受ける認知機能検査でも異常は見つかっていなかった。免許はずっとゴールドだった。

「19歳のときに、免許を取ってから、対人、対物の事故をいっさい起こしたことがないのはもちろん、スピード違反で切符を切られたことすらなかった。思えば、そういう自負が過信を招いたんだと思います」