貯金ゼロ、明日の生活も苦しい…「中年フリーター」の救済策はあるか

就職氷河期世代の支援を考える
小林 美希 プロフィール

「東京しごと塾」という参考例

就労支援に民間ノウハウの活用は避けては通れないが、何重もの委託になって中抜き状態になることや、再委託以降は事業費の使途のチェック機能が働かないことから、委託事業で儲けようとする民間企業が現れるのは必須だ。

そこで適正な費用で事業が行われるかの透明性を担保しなければ、10数年前の失態を繰り返すだけで、人材関連会社の利益にしかならないだろう。

経済財政諮問会議の議事録を見ると、議員から「民間の知恵をしっかり使っていくことが重要なので、省庁全体で民間のノウハウをしっかり引き出していくことを考えていただきたい」と強調されており、注視する必要がある。

時給や日給で働く非正規雇用の多くは、仕事を休めばその分の収入が減ってしまって生活が成り立たなくなりがちだ。休むことが多ければ「あてにならない」とクビを切られることを恐れて、就職活動に本腰を入れにくい問題もある。

とはいえ、職業訓練は必要なケースが多く、1日数千円でも日当が出るような形での職業訓練と就労支援が行われることが望まれる。

 

その点、東京都が行っている30~44歳向けの就労支援事業となる「東京しごと塾」が参考になる。同事業は、2ヵ月間、実際に企業訪問をしながらグループワークで企画を考え、プレゼンテーションを行うなどの職務実習を通してビジネススキルを身につけていく。中小企業を中心とした正社員雇用に結びつけている。受講生には「就活支援金」が原則で日額5000円支給される。

東京しごと塾の就職実績は年々上がっている。事業を始めた2015年度は実習を受けた205人中、86人が就職し、うち正社員採用は45人だった。16年度は182人中の171人が就職(うち正社員は83人)、17年度は159人が受講して就職者が176人(前年度の受講生も含む)、うち正社員が116人となり、一定の成果を上げている。

こうした取り組みが全国に拡大すれば、就職氷河期世代の雇用も改善に向かうのではないだろうか。

バブル崩壊後、「失われた10年」が20年に延び、今、「失われた30年」に突入している。この10年、20年という長い間に、正社員を目指して努力を続けてもあっさりと契約を打ち切られ裏切られ、心身ともにバーンアウトした就職氷河期世代が抱える問題は複合的だ。たんに社会保障費の抑制のため、人手不足の解消、夏の参院選対策のためであってはならない。