貯金ゼロ、明日の生活も苦しい…「中年フリーター」の救済策はあるか

就職氷河期世代の支援を考える
小林 美希 プロフィール

「民間ノウハウの活用」を危惧

支援対象者も拡大する必要がある。

「自営業主・家族従事者」や「その他」(勤め先での呼称が未回答、就業状態不詳)の合計103万人のなかには、望まぬかたちで自営業主になっているケースや雇用関係が曖昧でいつ失職するかも分からない人も少なくはない。

なぜなら、企業が社会保険料負担を逃れるため、本来は雇用関係にあるべき労働者を個人事業主扱いや業務委託として働かせている実態があるからだ。就職氷河期世代の不安定雇用をたんに非正規雇用だけでくくることはできない。

就職氷河期世代支援プログラムには、ハローワークに専門窓口を設置して専門担当者を置く、仕事や子育てしながら受講できる正社員化に有効な資格の取得と職場実習を組み合わせる「出口一体型」のプログラム、採用選考を兼ねた「社会人インターンシップ」の推進、各種助成金を見直し企業のインセンティブ教科、民間ノウハウの活用――などが挙げられているが、目新しいものはない。

筆者が危惧するのは、「民間ノウハウの活用」。支援が必要な個人ではなく、支援をうたう業者の利益のためのものになりはしないか。

 

就職氷河期世代がまだ“若者”だった頃、フリーター対策の目玉事業として2003年6月に策定された「若者自立・挑戦プラン」に基づき経済産業省と厚生労働省が連携して、民間のノウハウを活用して若者の就労支援をきめ細かく支援しようとした。

2004~06年の3年間、15~34歳の若者の非正規雇用胃を対象にした就労支援事業「ジョブカフェ」のモデル地域に経産省が選んだ20都道府県のなかには、「民間ノウハウの活用」で異常な人件費が計上されており、その実態を筆者はスクープした(週刊AERA2007年12月3日号、12月10日号)。

その内容は、経済産業省から委託を受けた千葉県、岐阜県、大阪府の事業を再委託する形でリクルートが自社の社員(プロジェクトマネージャー)をジョブカフェに配置した時の人件費を、1人が1日にする仕事の単位を意味する1人日(いちにんにち)の報酬、つまりは“日給”が12万円、コーディネーターで9万円、キャリアカウンセラーで7万5000円、事務スタッフが5万円で計上されていたのだ。

もちろん、本人は満額を手にしてはいなかった。現場からは“高いノウハウ料だった”との声が聞こえた。

例えば当時、千葉県の場合は経済産業省から3年間で11億5300万円の費用で(財)千葉県産業振興センターにジョブカフェ事業が委託された。そこからリクルートやNTTデータなど数社に事業が専門分野別に切り分けられて再委託された。

リクルートには、プロジェクトマネージャー、キャリアカウンセラー約10人、受付事務スタッフの人件費として7億円もの費用が流れていたが、経産省は「再委託先の事業費や人件費は1次委託先との民間と民間の契約になるため国は関与しない」として、再委託先がどう費用を使おうとブラックボックスになっていた問題が浮き彫りとなった。