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# ビジネススキル

83歳の元大学学長はなぜ新聞を「死亡記事」から読むのか?

成功者3000人に学んだ「時間の哲学」
仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない……。「もっと時間があればいいのに!」と思っている人は多いだろう。超多忙の人気ブックライターで、著書『プロの時間術』を刊行したばかりの上阪徹氏は、これまで3000人以上にインタビューをしてきた経験から、成功者ほど時間に対してシビアだと結論づける。そんな彼らが日々、実践している習慣とは? 上阪氏が語る。

「明日」がある保証はない

「やりたいことをする時間がない。なんだか充実感がない」

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「どうにも忙しい。仕事に追われて、なかなか余裕が持てない」

「もっと効率的に時間が使えないものか。もっとうまくやる方法があると思う」

たくさんの仕事に囲まれながら、私が意外にも軽やかな日常をSNSで発信することも少なくないからか、そんな声をときどきいただくことがあります。いったい、どうやって時間をコントロールしているのか。どんな時間の使い方をしているのか。どんなふうに仕事をこなしているのか……。

その前にぜひ知っておいていただきたいことがあります。

それは、どうして時間を大切にしなければいけないのか、という「時間の哲学」です。

そんなことはわかっている、と思われるかもしれません。時間が大事だからこそ、時間の使い方を上手にやりたいんじゃないか、と。

私もかつてはそう思っていました。しかし、取材を通じての学びが、その意識を大きく変えることになりました。私はまったくわかっていなかった、ということです。

これがわかって時間を大事にしようとするのと、わからないで時間を大事にしようとするのでは、きっとその実践は大きく変わるだろうな、と改めて思いました。

 

端的に言えば、時間の使い方に圧倒的に本気になる、ということです。

もう7年以上前になります。日本を代表する何人もの起業家から恩師と呼ばれている元大学学長と書籍の仕事をご一緒しました。ありがたいことに食事に誘われ、当時83歳だった彼と食事をしているとき、こんな問いかけをされました。

「上阪くん、君は新聞を読んでいるか」

突然の問いかけに驚きました。はい、と答えると彼は言いました。どこから読んでいるのか、と。1面からです、と言うと、自分は違う、と言われました。

「社会欄に死亡記事があるだろう。あそこから読むんだ。どこかで誰かが交通事故に遭って車にはねられて亡くなっている。あるいは空から鉄筋が降ってきて亡くなる人もいる。殺人事件に巻き込まれる人もいるな」

なんの話が始まるのかと思いきや、彼はこう続けました。

「私は思うんだ。自分もいつなんどき、ここに名前が出るかわからない、と。車にはねられるかもしれないし、空から鉄筋が降ってくるかもしれない。こんなものは他人事だと思っている人は多い。でも、いったいその保証はどこにあるんだ? みんな忘れているんだ。明日がある保証は本当はどこにもない、ということを」

だから、今日を一生懸命生きないといけない、と彼は言いました。明日、死んでしまうかもしれないと思ったら、誰だって今日を一生懸命、生きる。そういう気持ちを持っただけで、人生は変わるぞ。だから、あえて新聞の死亡記事を読むんだ、と。

君はそのくらいの気持ちで毎日を生きているか、明日はないと思って今日を生きたか、と。

衝撃の経験でした。それを83歳の人に言われたことが、またショックでした。