まるで異世界への入り口?JR牟岐線・海部駅「トマソン・トンネル」

鉄道の「記憶」 往時の面影を訪ねて

愛される「無用の長物」

「トマソン・トンネル」と呼ばれる町内トンネル。撮影/LGR-P

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写真の「トマソン・トンネル」は徳島県の最南端、JR牟岐(むぎ)線の終点・海部(かいふ)駅の近くにある。正式名称は「町内(まちうち)トンネル」というが、作家の故・赤瀬川原平に「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物で、超芸術の一部門」と紹介され、鉄道ファンの間では通称で語られるようになった。

「トマソン」とは昭和56年、大リーグから鳴り物入りで読売ジャイアンツに入団したゲーリー・トマソンに因る。期待とは裏腹に、当時の球団三振記録を更新し、「舶来扇風機」「トマ損」と揶揄された。

 

「現在、トンネルは山を潜っているわけでもないので、なくても運行に何の支障もない」(JR四国)が、撤去計画はなく、むしろその長閑な姿が愛されている。

昭和48年に小高い丘を刳り貫いて開通したが、宅地構造のため山が削り取られ、同51年には現在の姿になった
アクセス

阿佐海岸鉄道が乗り入れている、海部駅のホームから見える。コンクリート製で、全長44m。すぐ脇に町営住宅が建つ

取材・文/飯田守

『週刊現代』2015年10月17日号より