小さな駅によみがえった「安全の手渡し」

かつて、列車が行き交う単線区間では、「通行手形」が使用されていた。駅員が手にする、直径40cmほどのワイヤーがついた革袋。中には、円盤(タブレット)が収納されている。
この円盤が「通行手形」だ。列車が行き違う駅間を定め、同区間では、タブレットを持つ列車1本のみ進入を許可する。出発駅でタブレットを受け取り、次の駅で引き渡すまで別の車両は入れないので、列車同士の接触事故を避けることができる。
自動化に伴い全国から姿を消したが、2013年、小湊鐵道の里見駅で復活した。
過疎化で、2002年以降は無人駅だった同駅。近在の小学校が同駅近くに統合されたため通学客が増加し、2車両の往来が再開された。
懐かしい光景が蘇っている。

アクセス
小湊鐵道の里見駅へは、JR内房線に乗り入れている五井駅から約50分。
取材・文/飯田守
『週刊現代』2015年10月10日号より