三大都市圏の中で人口が最速減少するのは、大阪圏です

大阪市の人口拡大を支えるのは、外国人
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横浜から若い男だけが消えていく

鎌倉市に近い横浜市栄区の桂台地区を休日に歩くと、子供連れの若い家族よりも、高齢者の姿が目立つ。近年、この地域の65歳以上の割合は、ついに全体の50%を突破。

バスなどの交通網が発達しているおかげで生活の不便はあまりないが、地方の過疎地なら、コミュニティーの維持が危ぶまれる「限界集落」と呼ばれる水準にまで、高齢化が進んでいる。

市内人口約370万人、政令都市で人口ナンバーワンを誇る横浜でも、人口減少と高齢化が急速に進む。人口は'19年をピークにして減少に転じると予測されており、'45年の予測人口は約28万人減の342万人になる。

数字の上では一定の人口を維持しているが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、'40年には金沢区で高齢化率が40%を超えるのを筆頭に、各地区で高齢化が急速に進んでいく。

みなとみらいも未来は高齢者だらけに(Photo by iStock)

そんななかで懸念されるのが、「20代から40代の働き盛りの若者たちが激減することだ」と横浜市の政策局政策部・政策課長は話す。

「いま、地方から東京に人が流れる一極集中が起こっていますが、横浜もご多分に漏れず、東京への転出が進んでいます。特に若い世代が、より良い仕事や住環境を求めて、続々と東京に転出しており、市としても危機感を募らせています」

'17年には、横浜市から転出した30~40代の数が、転入者の数を1409人も上回ったという。

横浜といえば、東京からほど近く、元町やみなとみらいなど若者にとって魅力的な場所がたくさんある。にもかかわらず、なぜ横浜から転出する若者が増えるのか。不動産事情に詳しい、オラガ総研株式会社の牧野知弘氏が説明する。

「これまで横浜という街は、お父さんが東京の会社で働き、お母さんが専業主婦として2人の子供を見る、というような家庭に向けて、理想的な住環境を提供してきました。

都心まで1時間かかるものの、東京より家賃が安く、加えて家庭を持つ人たち同士のコミュニティーが存在していた。

ところが近年、夫婦共働きが当たり前になって、子供がいないか、あるいはいても1人という家族構成になると、通勤に1時間かかることが煩わしくなり、多少家賃が高くても、利便性の高い都心部へと移り住むことを選ぶ人が増えているのです。

独身者であればなおのこと、よりよい環境を求めて東京へと出ていきます」

現在、横浜市の生産年齢人口割合は約63%。このまま働き盛り世代の転出が続くと、'45年には54%にまで落ち込むことになる。

「人口350万人超の都市ですから、数十万人規模の働き手が減ることになります。横浜市は法人税の割合が少なく、個人市民税の割合が大きい。

人口減少と働き手の転出によって、税収の面でも大変な影響を受け、住民サービスが維持できるか、という課題が出てきます」(前出・政策課長)

 

若者の転出に危機感をもった横浜市は、'17年、過去に横浜から転出した若者5000人を対象に、アンケートを実施。

なぜ転出したのか、どうすれば横浜に戻ってくるのか分析を行ったが、「街自体は好きなので、横浜の子育て支援・子育て環境が改善すれば、また横浜に戻ってきたい」という声が多くあったという。

横浜市が本腰を入れて子育て支援に乗り出せば、横浜では子育てが大変だと思って転出した若い夫婦や女性は戻ってくるかもしれない。しかし、いまのところ働き盛りの男性を呼び戻す効果的な策はなさそうだ。

若い男がいなくなる巨大都市・横浜――これもまた、受け入れがたいが直視しなければならない現実である。