中国・習近平が「香港デモ騒動」のウラで、トランプに完全敗北する日

最大の誤算だった
豊島 逸夫 プロフィール

トランプの高笑いが聞こえる

では今後の米中貿易戦争の行方を占ってみよう。

私はG20サミットでの米中会談でまずその兆候が表れるとみている。おそらくG20サミットでは、トランプ大統領と習近平国家主席がにこやかに握手する写真が世界に流れるのではないか。2人は舞台裏で激しい貿易交渉を繰り広げてはいるが、表向き「友達」と表明しているからだ。

しかし、本番は夏にかけての交渉だ。

〔photo〕gettyimages

米中貿易交渉には2つの側面がある。一つは「関税」、もう一つは「ハイテク覇権争い」である。後者については、今後の世界的デジタル覇権をいかに握るかという問題なので、双方妥協は難しく、長期的な米中新冷戦を展開しかねない最大の懸案事項である。一方で前者の「関税」については、早期の妥結に入るというのが私の見解だ。

おそらく夏までに米中は関税交渉で折り合い、一定の交渉妥結を見ることになるだろう。25%の関税発動は撤回され、双方の貿易が回復することになる。

 

もちろんディールに長けたトランプ大統領のこと。この妥結をみるために、「非関税」分野で一定の譲歩を引き出すだろう。たとえば、中国側に対して米企業の中国進出のさらなる自由化をのませたり、中国企業のスパイ的な活動の規制強化や、米国企業に技術開示を強制しないことを約束させる、などの譲歩を引き出すのではないか。

習近平国家主席は香港デモの影響で、関税交渉の早期妥結を飲まざるを得ないだろう。トランプ大統領の高笑いがいまからでも聞こえてきそうな雰囲気だ。

しかしこうした米中貿易戦争の一服は、世界経済に良好な影響を与えるかと言えば、そうはならないだろう。トランプ大統領は、次のターゲットに本格的な貿易交渉を迫ることとなるからだ。その標的は日本と欧州だ。