中国・習近平が「香港デモ騒動」のウラで、トランプに完全敗北する日

最大の誤算だった
豊島 逸夫 プロフィール

トランプが手にした「最大級のディール・カード」

昨年、長老たちとの北戴河会議でも、習近平国家主席は釘を刺されている。

今回の香港デモをきっかけに、こうした声がより一層強まっている可能性は高い。言い方を変えれば、習近平国家主席は、トランプ大統領に譲歩せざるを得ない状況に追い込まれてきたともいえるのだ。

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かたやトランプ大統領にとっては、今回の騒動で「最大級のディール・カード」を手に入れたことになる。

アメリカでも米中貿易摩擦の早期妥結の声は高まっている中で、中国から譲歩を引き出し、交渉を妥結させる機会を手に入れたわけだ。ビジネスマンのトランプ大統領のこと。このチャンスに当面の決着を図ろうと動き出すことになるだろう。

現在のマーケットの状況からも、それを期待する声は高まっている。

 

マーケットにとって、今回の香港デモはまったくの想定外の事態であり、かたずをのんで見守っている。直近の市場がリスクオフから薄商いの様相を強めていたことがそれを物語るが、さらに「米債券、円、金」の安全資産が価格上昇を続けており、香港デモがサプライズ性の大きいリスク材料とマーケットが捉えていることは明らかだ。

ホルムズ海峡でタンカーが攻撃にあったことでアメリカとイランの対立が激化したこと以上に、マーケットの目は香港を向いている。ホルムズ海峡のタンカー攻撃を起点に原油高を見越して、原油を買ったヘッジファンドもあったが、原油価格は米中貿易戦争由来の原油需要減を嫌気してそれほど大きく動いていない。

過去のマーケットを見ても、中東情勢は一過性の影響しかなく、今回も同様の結果となっている。むしろマーケットが懸念しているのは、中国の大勢に影響を与えかねず、さらに米中貿易戦争を左右しかねない「香港デモ」なのだ。