日本の競争力「過去最低」世界30位の衝撃、衰退の根本原因を示そう

このままではジリ貧だ
戸堂 康之 プロフィール

閉鎖性の根底にあるもの

日本人が長期にわたって外国に対して閉鎖的なのは、柔軟性が乏しいからでもある。図2の右端のグラフは、「新しいチャレンジに直面した時、国民の柔軟性・適応力が高いか」という質問に対する回答を点数化したものだ。日本は、シンガポール、アメリカ、中国とくらべて非常に低く、日本人の変われない体質を表している。そのため、内向き志向が是正されずに、むしろ強化されてしまっているのだ。

日本が長らく内向きでいる間に、中国は海外とのつながりをうまく活用して急成長した。図1からわかるのは、中国企業はアメリカ企業と活発に共同研究を行っていることだ。中国が改革開放後に外資企業の誘致を積極的に行ってきたことは周知の事実で、それによっても多くの知識を吸収してきた。そして、そのような外向きの経済活動は、グローバル化の進展を柔軟に受け入れようとする中国人の意識(図2)に支えられている。

その結果、2005年には日本の半分だった中国のGDPは、今では日本の2.5倍以上になった。そればかりか、ITをはじめとする多くの技術分野で日本は中国に大きく後れを取ることになってしまった。

日本人の内向き志向を変えるのは簡単ではない。人間には「現状バイアス」とよばれる性質があり、変化することで利益が得られるとわかっていても、なかなか現状を変えられない。さらに、進化の過程で、人間は少人数からなる群れの中で密接につながって他の群れや種と対抗することで、厳しい環境を生き抜いてきた。だから、人間には本質的に閉鎖的な性質があるのは否めない。

 

開放的な人間を育てるためには

しかし、こういう人間の本質的な閉鎖性も絶対に変えられないわけではない。西南学院大学の山村英司教授らの研究からは、幼少期に団体スポーツをした日本人は、他人を信頼し、競争を肯定し、自由貿易を支持する傾向が強いことがわかっている。

つまり、幼少期にスポーツを通じて多様な人々と接することで、多様性を尊重し、外国に対しても開放的な人間になれる可能性を示しているのだ。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンも、幼児期に協調性などの「非認知能力」(学力とは違う能力)を育成することが一生を左右することを見出した。

だから、子どもや若者に外の世界を見る機会を与えれば、外に対して開放的で柔軟な人間に育つはずだ。そのような若者が増えれば、日本経済はイノベーティブになり、生活も豊かになるだろう。