地方空港はどう変わるか(photo by iStock)
# 経済・ビジネス

LCCを誘致するような施策では、地方空港は生き残れません

未来の空旅はどう変わるか・その9
様々な課題を抱えつつも、変われずにいる地方空港は数多い。日本の空港戦略は大丈夫なのか? LCCは本当に地方空港を救うのか? 「選択と集中」は効果的な政策なのか? 首都大学東京特任教授の戸崎肇氏が、航空の現況と今後の展望・課題について利用者目線から追っていく、連載第9回!

地方空港間での奪い合い

日本の地方空港は、地域独占の状態にあぐらをかいていられるような状況にはなくなってきたことは前回まででおわかりいただけたものと思う。しかし、それでも全くといっていいほど何の努力もしようとしない空港も未だ存在することも確かだ。

つい先日もそうした空港の社員の痛切な声を耳にした。現場で社員がどれほど工夫をこらそうとしても全く関心を寄せず、ただ余計なコストをかけないことだけを心がけ、「腰掛け」としての任期を全うしようとしている経営者・役員に悩まされているとのことだった。

 

今後も急激な拡大が予想されるインバウンドのために、国土交通省は、地方空港にインバウンド受け入れを増やすためのプランを作らせ、その内容と結果から補助金の支給などの支援を与える制度を導入し、実施している。

ただ、その内容はどこも同じようなものとなりがちであり、評価に苦しむことになる。つまり、どこも中国、韓国、台湾といった、現状においてすでに訪日ランキングの上位にある国からの誘客プランばかりなのである。

その結果、たとえば台湾からの誘客をめぐって隣接する地方空港間での奪い合いが生じており、日本全体としてみればゼロサムゲームになってしまっている。

各空港の活性化にはつながっているのではあろうが、国政として考えてみた場合には、あまり肯定的に評価できるような状況ではない。新たなデスティネーションの開拓ができていないのだ。 

台湾からの誘客はゼロサムゲームになる(photo by gettyimages)

日本企業の海外折衝の弱さ

一方、観光庁も、地方にインバウンド誘致のためのDMO(Destination Management Organization)の設立を促している。本来的には、こうしたDMOと空港が連動してインバウンド誘致活動を行えば効果的だろうが、なかなかそうした連携は見られない。

インバウンド誘致のための取り組みとして、地方空港、あるいはその後ろ盾である都道府県の担当者がその努力を強調するためによく取り上げるのは、海外の航空会社、特に陳情に応じてくれる可能性が高いと思われるLCCなどへ訪問し、地元の空港に就航してほしいと積極的に要請しているというものである。

しかし、こうした取り組みがどこまで実効性があるかは、はなはだ疑問がある。

筆者は、就航、あるいは増便を要請される側である海外の航空会社から実際に次のような話を聴いている。「個別に都道府県、あるいは地方空港の担当者が来られてもわずらわしいだけである。しかも、提案されるマーケティング戦略は実効性に乏しく、とても受け入れられるものではない」。

また、相手方から要望や質問を受けても、訪問した担当者では権限もないためにその場では応えられず、身の無い会合になってしまうことも多々あるという。これに関しては、何もインバウンド誘致の場合に限らず、従来、日本企業の海外折衝の行い方のマズい点としてしばしば指摘されてきたことでもある。

つまり、政策の決定権をもつ人物が、広域連携のもとに海外のエアラインに対して誘致活動を行うのが望まれているのである。