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200万人香港デモ、市民の怒りに火をつけたエリート官僚の傲慢

前代未聞の事件の深層

香港を「追い込んだ」行政長官

香港時間6月18日午後4時、とうとう林鄭月娥・香港特別行政区行政長官がメディアのカメラの前に姿を現した。16日の200万人もの市民の抗議デモ以降、政府ビルは林鄭長官の辞職と、12日の同ビル付近での警察との衝突で逮捕された人たちの釈放を求める抗議者で包囲されており、政府職員たちは自宅での執務を命ぜられていた。記者会見が準備されると、陸続と職員たちも同ビルでの勤務に姿を現した。

香港史上最大の、いや世界的に見ても稀な、200万人という市民が街を練り歩いた6月16日のデモの後、「真摯に反省し、謝罪する」と同長官は述べたものの、「あと3年の任期にやりたことがある」と何度も繰り返し、辞職の意思はないことを強調した。

さらに、12日に起きた衝突を「暴乱」、そして参加者を「暴徒」と呼んだことに対して、「抗議デモをそう呼んだわけではなく、また抗議に参加した人、特に学生を『暴徒』とは呼んでいない」と強調。「香港の抗議デモは非暴力で平和的であるべきだ」と繰り返して、各社の記者が手を変え品を変えて質問しても、「警察は暴力をふるったり、政府ビルに飛び込む人を取り締まる役割を負っている」と述べ続けた。

つまり、「暴徒」「暴乱」は撤回せず、辞職もしない。警察の判断は間違っていなかった、問題の「逃亡犯条例」改訂草案の推進は現時点でストップしている…を何度も何度も繰り返すばかり。「市民の批判を受け止め、真摯に反省する」と述べつつ、「それでは市民の声を聞いたことにはならないのではないか」の質問にも、未来3年の抱負で切り返した。

林鄭月娥〔PHOTO〕Gettyimages

ここにおいて筆者は、林鄭月娥という人物は、どうしようもないほどの公務員根性にまみれ、政治的センスのまったくない行政長官なのだ、という、数日前から感じていた思いをさらに強くした。

 

すでに香港メディアでも、彼女のこうした「香港育ちのエリート公務員」としての性格が、いま香港を抜き差しならない状況に追い込んだとする論評が、かつて彼女の行政長官就任を好意的に見守った知識層からも流れ始めている。彼女の行動こそがデモを引き起こす状況を準備してきた。

彼女の来歴と行動をつぶさに検討することは、今回の事件の問題点について知ること、さらに香港の「一国二制度」について、そして中国との関係を知るための重要な前提となるはずだ。