羽黒山巡りは「生まれ変わりの旅」

羽黒修験道では、羽黒山は現世、月山は死後の世界、湯殿山は来世と言われ、三山を巡ることは、江戸時代には「生まれ変わりの旅」として、広がりました。それは日本古来の山岳信仰ともつながります。山伏の方々は現世の自分を葬り、白装束をつけて山で無心に修行し、天地のエネルギーをいただき、擬死再生によって、新しい自分に生まれ変わるのです。

羽黒山にて国宝・五重塔 写真集『日月巡礼 出羽三山』より 撮影/稲田美織

霧の中、月山を登っていると、この世ではない違う世界に来たように思えます。現世の様々な執着を捨てて、無になることは、現代社会ではとても大切なことかもしれません。また湯殿山では、まるで母なる大地から、新しい命として生まれ出るような体感をします。

私は、NYで同時多発テロを目撃した時に、同じ肉体なのに、生まれ変わったような経験をしましたが、長い一生の中で人は、きっと、何度か、そういう時があるのかもしれません。そしてそれは、魂を磨く大切なことのような気がしています。

また、神さまも仏さまも大切にしている出羽三山の懐の大きさは日本人が本来持つ寛容性なのだと思いました。この地を訪れる度に、とても暖かくて懐かしくて、まるで魂のふるさとに戻った気持ちになります。
                           

 
写真集『日月巡礼出羽三山』の発売を記念して、「ミラクル!祈りの眼差し 稲田美織出羽三山写真展」も開催。6月22日(土)~8月4日まで 致道博物館にて
夏には「稲田美織写真展 地球聖地」も予定されている。7月6日(土)~8月4日(日)まで 山形県ショウナイホテルスイデンテラスにて