高齢ドライバーの「暴走・免許返納」問題、実効的な対策を教えよう

感情論だけではダメです
加谷 珪一 プロフィール

カギを握るライドシェアとコンパクトシティ

現時点において、こうした問題を構造的、かつ抜本的に解決する有力な手段は、拠点の集約化と自動運転システムの普及である。日本は高齢化が進んでいるので、各地域の拠点に人口を集約させるという、いわゆるコンパクトシティ化の試みが徐々に進められている。拠点集約が進めば、公共交通機関で移動できる人が増えるので、免許の返納を後押しできる。

日本ではタクシー業界の強い反対でライドシェアが規制されているが、公共交通機関を使ってドアツードアで移動できるインフラを整備するには、ライドシェアの普及が不可欠である。日本ではライドシェアの弊害にばかり焦点が集まっているが、もっと幅広い議論が必要だろう。

 

当然のことながら、この話は自動運転システムと密接に関わってくる。ライドシェアの問題点として指摘されているのは、劣悪な労働環境を招く、乗客の安全が脅かされるといったものだが、自動運転車が普及すれば、その問題の多くは解決する。

地方ではタクシー運転手の高齢化が大きな社会問題になっているので、日本において自動運転は非常に重要な技術といえる。先ほど説明したコンパクトシティ化が進めば進むほど、自動運転の実用度合いも高まるので、両者は一体のものとして考えた方がよい。

一連のインフラを整備するには政治のリーダーシップが欠かせない。

公共交通機関を、システムを使って統合し、ひとつの移動サービスとして提供するという試み(MaaS『マース』と呼ばれる)が欧州を中心に盛り上がっているが、フィンランドでは、インフラ整備がスムーズに進むよう、関連省庁を統合するといったドラスティックな改革を行っている。高齢化という点では日本は先進国であり、事例を示すよいきっかけとなるはずだ。