高齢ドライバーの「暴走・免許返納」問題、実効的な対策を教えよう

感情論だけではダメです
加谷 珪一 プロフィール

感情論を振りかざすだけでは問題は解決しない

繰り返すが、筆者は高齢者の自主的な返納推奨に反対しているわけではない。だが、社会全体として強引に返納を迫る今の風潮は、多分に情緒的なものであり、現実問題を解決するというロジカルなものではないと指摘したいだけだ。

単なる感情論で一部の人に強引に免許返納を迫れば、当然、圧力を受けた人たちは反発するので、逆に問題解決が遠のくことになる。しかも、若者を含めて事故を起こしやすい人は、運転に対して自信を持っていることが多く、ほかに選択肢がない中で説得するのは簡単なことではない。

日本人は問題を解決するという(つまりソリューションを考える)という意識が希薄であり、何か問題が起きると、物事の仕組みを変えるのではなく、分かりやすい誰かのせいにして、感情的に騒ぎ立てるという傾向が顕著である。

 

「免許返納を迫るのはやり過ぎではないか」という意見が出ると、決まって「高齢者の事故で死者が出たら責任を取れるのか」といった、非論理的かつ暴力的な批判が出てくるのが常である。

これは抽象的な思考が不得意で、形而下の問題に置き換えないと状況を把握できないという日本人特有の精神構造が大きく影響している可能性が高い。

だが「日本人はそうなのだから仕方がない」でよいはずがない。

高齢ドライバー(若年層ドライバーの問題でもある)問題を解決するには、短期と長期に分けてソリューションを考える必要があるだろう。

短期的には、自主的に返納してもらうよう啓発活動を行い、免許の保有者の絶対数を減らしていくしかない。返納にメリットがないと多くの人は決断しないので、財政的な支援が必要である。どれほどの効果があるのは微妙だが、一部の国が行っているように、運転できる場所や時間に制限を加えた上で免許を引き続き交付するというやり方もある。

事故の多さを問題視するのであれば、若年層ドライバーについても講習を義務付けるなどの施策が必要となるだろう。だがドライバーの意思のみに依存する方法では限界があるので、長期的にはもっと抜本的な解決策が必要となる。