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高齢ドライバーの「暴走・免許返納」問題、実効的な対策を教えよう

感情論だけではダメです

尾木ママや杉様など、高齢な著名人が相次いで運転免許の自主返納を行っている。このところ高齢ドライバーによる事故がクローズアップされており、著名人による自主的な返納は、多くの高齢者に考えるきっかけを与えるだろう。一方、クルマを必須とする一部の高齢者は、社会から返納を強要されているとして、こうした風潮に強く反発している。

高齢になると判断能力が低下するのは事実なので、返納できる人はした方がよいというのはその通りだが、高齢者による事故が多発しているというのは事実ではない。単なるイメージや感情論で高齢ドライバーをバッシングし、返納を事実上、強要するというのは、民主的な成熟国家のすることではない。日本が先進国だというならば、事実(ファクト)に基づいた合理的な解決方法を模索すべきである。

 

免許返納は進んでいない

教育評論家で「尾木ママ」の愛称で知られる尾木直樹氏が運転免許証を自主返納した。尾木ママは現在72歳で、運転にはまったく問題ないそうだが、高齢ドライバーの事故が相次いでいることから「返納を考えている人の後押しになれば」と自主返納を決めた。

「杉様」こと俳優の杉良太郎氏も、運転免許試験場を訪れ、自主返納の手続きを行った。杉氏はまもなく75歳になるが、年齢による反応の衰えなどを感じており、前回の更新時に次回は返納しようと考えていたという。このほか俳優の伊東四朗氏、タレントの高木ブー氏、関口宏氏、黒柳徹子氏など多くの著名人が免許を返納した(あるいは更新しなかった)ことを明らかにしている。

黒柳徹子さん〔PHOTO〕Gettyimages

彼等は芸能人なので、こうした行為がメディアで紹介されれば、自身の活動にプラスになるという実利的な面があり、実際、尾木ママや杉良太郎さんが免許を返納する様子はテレビ番組で紹介された。だが著名人がこうした行為を自主的に行い、それをメディアが報じることで、多くの人が返納を考えるきっかけになるのは間違いないだろう。

しかしながら、現実の免許返納はスムーズに進んでいない。

2018年末時点における75歳以上の運転免許保有者は約564万人だが、同年に自主返納した75歳以上のドライバーは約29万人にとどまっている。多くの高齢ドライバーが免許返納に抵抗感を持っているとされ、家族などから説得されてもなかなか応じないケースが多いという。