偏見との戦いを描く『いだてん』賛美の声

このところ、『いだてん』の話題といえば、視聴率が振るわない、ということが話題に上る。
16日の放映も平均視聴率が6.9%。前回よりも0.2%上がったが、第6回から第23回まで18回連続で1桁視聴率を更新中だ。

しかし! 観ている人たちの評判はSNS上で非常に高い。中でも、16日放映の第23回「大地」は、「神回!」「全身鳥肌が立った」「凄すぎて眠気が覚めた」「涙腺崩壊」といったコメントが続いた。特に、この日は後半から大正12年9月1日に発生した関東大震災が描かれたことも影響している。

しかし、SNSのコメントは震災部分だけでなく、『いだてん』が描く女性たちにも向けられていた。

100年前の女性たちがこんなにもがんばってくれたのに、今も変わらず偏見がある
女性たちが男性たちからの偏見と戦って自立していくところは秀逸
戦前から戦ってくれた女性たちのおかげで今がある
今も女性の立場は脆い。クドカンのメッセージが多くの人に届いてほしい
100年日本に有り続ける問題に目を向けている

今回の大河ドラマは、歴史上の名立たる武将や英雄は出てこない。前半の主人公の中村勘九郎演じる金栗四三(かなくり・しそう)にしても、日本初のオリンピック選手だが、金メダルを取ったわけではない。マラソン選手として世界的な功績は出せなかったが、彼が刻んだ1歩が箱根駅伝など、日本の陸上界、スポーツ教育、スポーツ文化を大きく変えていることに気づかせてくれる。

マラソン選手を引退し、その後、金栗は東京府立第二高等女学校に赴任し教師になる。そして、女子学生を陸上に誘うのだ。オリンピックを通して見てきた世界の女性たちのように、力強く、健康的な女性を目指すべきだと女子学生にスポーツのよさを伝えるが、最初はまったく相手にされない。大正時代の女性たちにとって運動は一般的ではなく、男性よりも力も体力もない女性が運動するのは健康に悪いことだとされていたのだ。しかし、金栗の純粋なまでの勧誘に女子学生たちも次第に靡いていく。

しとやかさや、良妻賢母を求められ自分を出さずに、と教育されてきた彼女たちが、競うことの楽しさ、内に秘めた日頃の鬱憤を晴らすように、スポーツに魅了されていくのだ。体を動かすこと=不健康と教育されてきた彼女たちは、体力をつけて、次第に心も身体もパワフルになっていく。体だけでなく、自分たちで物事を選び、喜びを見出すようになっていく様を、宮藤官九郎は、こちらもワクワクするほど生き生きと描写していた。

中村勘九郎が主役の金栗四三を、阿部サダヲがもう一人の主人公・田畑政治を演じる NHKいだてんHPより