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ヤフーに電通、あなたの会社も? 増加する「持ち株会社」の功罪を問う

想像以上にドライなその実情
近年、多くの企業が「持ち株会社制」に移行している。すでに移行したカドカワやワールド、またヤフーや電通も近い将来の移行を決定済みだ。
持ち株会社にするメリットは一体なんなのか? 従業員や株主にはどのような影響がありうるのか?

米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、歴史的な背景もふまえて、わかりやすく解説する。

ある日、あなたの会社も「非上場」になる?

「え、オレ、一部上場会社の社員じゃなくなるの?」ーーこの見出しを見て、慌てた方もいらっしゃるかもしれない。

近年「◯◯ホールディングス」とか「XXグループ」という企業の名前を耳にすることが増えた。勤め先が「持ち株会社」に変わると、一般的に従業員はその下に連なる事業会社に移籍となる。株を公開するのは持ち株会社の方で事業会社は非上場だから、引き続きグループの社員ではあっても、「上場企業の社員」ではなくなってしまうわけだ。

 

最近ではヤフーが「持ち株会社」になると発表した。10月1日に「Zホールディングス」という名前の持ち株会社に移行し、その下にオンラインメディア・広告事業の「ヤフー」の他、金融事業をまとめる中間持ち株会社を新設する。持ち株会社のZホールディングスは公開企業だが、新設される事業会社の「ヤフー」の方は非上場となる。

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ヤフー以外にも、毎年多くの企業が持ち株会社制に移行している。2016年には第一生命、2017年にはカドカワやワールドが持ち株会社となり、2018年には電通が2020年までに移行すると発表した。

持ち株会社(正確には純粋持ち株会社、ホールディングカンパニー)というのは他の会社の株式を保有するだけで、自社では販売や製造などの事業は一切やらない。事業活動の実体がないという点では一種の「ペーパーカンパニー」のようでもある。

では何をやるのかというと、持ち株会社は他の会社の株を保有して支配し、その監督とリスク管理に徹する。人間の親子関係に例えて言えば、親は自分では外の仕事は一切しないでウチにいるから、自分の稼ぎはない。でも一家の長として実権を振るい、子供達が物を作ったり売ったりといろんな仕事をして稼いできたのを吸い上げるのだ。

とは言え、親の影響力は大きい。子ども達がちゃんとやってるか、間違った方向に走っていないか、その監督と指導次第で子供の成長、ひいては一家全体の将来も違ってくる。

1997年の独占禁止法改正以来増え続け、今では日本の上場企業の500社以上、ほぼ7社に1社が持ち株会社だ。三菱UFJなどの3大メガバンクや日本電信電話、セブン&アイ・ホールディングス、東京海上ホールディングスなど、時価総額上位の大企業にも持株会社がずらっと並ぶ。

株を買おうと思っている人はその前に会社の形態をチェックしてみよう。今では日本の優良銘柄を買おうとすれば、多くの場合それは実際に製造や販売をしている会社ではなく、親会社である「ペーパーカンパニー」の方に投資することになる。