フリーライターの雨宮紫苑さんは、22歳で移住し、現在ドイツ在住の27歳。海外に暮らすことの様々な壁にぶち当たりながらはや5年、先日ドイツ人の彼と結婚式を挙げた。
ちなみに雨宮さん、日本での学生時代に結婚式場でのアルバイト経験もあり、ウェディング事情には詳しい。しかもヨーロッパでの結婚式だなんて! さぞや素敵で優雅な結婚式だろうと思って聞いてみると、そこには想像とは真逆の「全部自分結婚式」が待っていた。雨宮さんがリアルな体験を執筆する。
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4月の雪の中で結婚式
ドイツの天気が気まぐれであるということは、重々承知している。だがしかし、4月半ば、結婚式の日にかぎって雪が降らなくてもいいだろう……!
とはいえ天候はどうこうしようもない。わたしは凍えるような寒さのなか、結婚式を挙げた。
日本でのドレスを着た結婚式といえば、式場のチャペルで指輪交換、その後は披露宴と二次会。新婦はお色直しをして両親に対する手紙を読み、上司がスピーチをし、友人による余興で盛り上がる。そんなイメージだ。
一方のドイツはといえば、まず式場がない。日本的なご祝儀や引き出物がない。上司を呼ばない。両親に手紙を読まない。新郎新婦の両親がゲストに対し特別な挨拶をしない。
「じゃあいったい何をするの?」と言われれば、「好きなこと」。これに尽きる。
どういうことなのか、自分の結婚式を例にお伝えしていきたい。
婚姻届けを出すにも準備が必要
ビザ更新の都合上、4月中に結婚することを決めたわたしとパートナー。せっかくなら式を挙げよう、ドイツ在住で日本での挙式は大変だからドイツでやろう、とは決めたものの……。
なにをどうすればいいかわからない! 彼に聞いても、「俺もはじめての結婚だからわかんない」といういつもどおりのてきと……楽観的な答え。
ドイツには婚姻届や出生届を管理しているStandesamt(日本語では「戸籍役場」と訳される)という役所があり、そこに婚姻届を出せば、晴れて夫婦となるらしい。
しかし、日本のように「いつでも提出できて提出したら即夫婦」というわけではない。まずは役所に連絡して予約を取り、書類を準備。その書類をもって二人で予約日に役所に行き、担当者に書類を渡して婚姻日を決める。
書類に不備がなく、結婚の許可が下りれば(基本下りる)、予約した日にふたたび二人そろって役所に行き、担当者の前で婚姻届にサインをする。それが「婚姻」だ。