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ベトナム、イラク、イラン…アメリカが繰り返す「悪のレッテル作戦」

イランの犯行を裏付ける証拠はない

タンカー攻撃の犯人

今週は、ファーウェイ本社視察の第2弾を書こうと思っていたが、安倍晋三首相がイランを訪問している真っ最中の6月13日に、2隻のタンカーへの攻撃事件が発生した。そのことで、5日が経ってもいまだに世界は騒然としているので、急遽イランの話を書くことにする。

このコラムは基本は中国問題をフォローしているが、中国はイラン最大の貿易相手国であり、中国とイランの「浅からぬ縁」についても後半で述べたい。

イラン時間の6月13日午前7時15分頃(日本との時差は4時間半)、東京千代田区に本社を置く国華産業が運行するパナマ船籍のタンカー「コクカ・カレイジャス」(全長170m、1万9349t)が、オマーン湾のホルムズ海峡付近で何者かに攻撃を受け、左舷後方のエンジンルームから火の手が上がった。この日はエタノール2万5000tを積んで、サウジアラビアのアルジュベール港を出て、シンガポールに向かっていた。

21人のフィリピン人乗組員が、慌ててCO2消火器を噴射して火を消し止めたが、約3時間後に再び、今度は左の船体中央に攻撃を受けた。これは危険と見た乗組員全員が、救命艇に乗り換えて脱出。近くを航行中の船に救出された。

もう一隻、ノルウェーのフロントラインが所有するタンカー「フロント・アルタイル」(全長251m、6万2849t)も同日、同じ海域で同様の攻撃を受けた。アブダビから台湾へ向けてナフサを積んでいたが、やはりフィリピン人11人、ロシア人11人、ジョージア人1人の乗組員は、救命艇に乗って脱出し、イラン海軍の艦艇に救出された。

以上が事件の概要だが、アメリカのドナルド・トランプ大統領は同日、早々と「イランの仕業に違いない」とコメント。マイク・ポンペオ国務長官も同日、「イランに責任がある」と断定した。

アメリカが「犯人」としているのが、イラン革命防衛隊(IRGC)だ。1979年のイラン革命後に創建された最高指導者アリ―・ハメネイ師直轄の「第2軍隊」で、総兵力は10万人以上に上る。

一方、イラン側は、犯行を名指しされたことに対して、怒り心頭である。モハンマド・ザリフ外相は同日、「根拠のない主張を断固否定する。イランの敵が背後にいる可能性がある」と述べた。BBCの映像を見ると、イラン国民もアメリカに対して、強いフラストレーションを溜めている。

アメリカは、そこまで「イラン犯行説」を主張するのであれば、イランの犯行であると世界の誰もが納得する証拠を示すべきである。

14日、パトリック・シャナハン国防長官代行は「これからできるだけの情報を開示していく」と述べたにとどまった。また同日、アメリカ軍は、「イラン革命防衛隊が攻撃された後のタンカーに近づき、不発の機雷を除去した映像」を公開した。

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だが、自国の近海に爆発するかもしれないタンカーが漂流していれば、機雷除去に向かうのは当たり前のことだろう。

このように、誰もが納得する根拠を示さないで「悪のレッテル」を張るアメリカの手法は、現在、中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)を非難しているのと、まったく同じである。

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