2019.06.21
# 宗教 # ライフ # 格差・貧困

「人も宗教も頼りにならない」ニューハーフ僧侶が目指す救いとは

「半端者」だからできることがある
安宿 緑 プロフィール

生と死の尊厳を守りたい

そんなかとうの、さらなる目標は大学院に進み博士号を取ること。現在は科目等履修生として在籍し、単位を取得している最中だ。

研究したいテーマは、「現代における人の死に方の充実」。

「一般的に一人で死ぬことは悪いことだと思われていますが、孤独を感じていなければ、それは『孤独死』ではないと私は考えています。物理的に一人で死ぬことは『孤立死』と呼んでいます。孤立することはその人の自由。孤立死をすべて『孤独死』と呼べば、故人の尊厳を踏みにじることになるのではないでしょうか

〔PHOTO〕iStock

死に方だけでなく、生き方においても、固定観念から人としての尊厳が踏みにじられている部分がある、とかとう。

「たとえば今も昔も、女性に対して子供を産むべきと強要する風潮がありますが、人は遺伝子の奴隷ではありません。一人一人が、子孫を作る以上に生きる意味を持っている。それが忘れられていると思うのです」

 

また、学歴社会への挑戦という意味合いもあるという。

「私は高校も祖父に学費の負担を少しでもかけないよう剣道の推薦で入り、ゆくゆくはそのまま警察に就職できればと漠然と思っていました。そこからアキレス腱を痛めて中退してしまい、夜間高校を経た後に縁あって大学に推薦入学したんです。座学は、
大学で始めたようなものです。

そんな私が博士号に挑戦するのは、道を作るためです。今は学歴で貧困を脱出できるような単純な構図ではなく、貧困だと高等教育自体を受けられない世の中。努力だけで格差を乗り越えることは困難です。そこで、お金のない私があえて勉学に挑むことで、現状を知らしめることもできるでしょう。どこまで続けられるかわかりませんが、限界までやってみようと思っています」

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